カレッジマネジメント241号
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692分野が大きく足を引っ張っていることが分かる。経済参画では、労働参加率の男女比、同一労働における賃金の男女格差、推定勤労所得の男女比、管理的職業従事者の男女比、専門・技術者の男女比、政治参画では、国会議員の男女比、閣僚の男女比、最近50年における行政府の長の在任年数の男女比が、それぞれの指数算出の基礎となる。ちなみに、下院または一院制議会に占める女性議員の割合は、日本の衆議院9.9%に対して、米国28.5%、英・独・仏は34〜37%、北欧3カ国は45〜46%の水準にある。日本を除くこれらの国のうち米国とノルウェーを除く国々ではクオータ制を導入している。第5次男女共同参画基本計画において、衆参両院議員及び統一地方選挙の候補者に占める女性の割合を2025年までに35%にするとの目標を掲げているが、最新値は衆議院議員17.7%、参議院議員33.2%、統一地方選挙19.2%である。また経済参画に関して、国は東証プライム市場に上場する企業の女性役員比率を2030年までに30%以上とする目標を示しているが、2023年7月時点では13.4%にとどまる。OECD平均が約30%、うち日本を除くG7各国が30〜45%の範囲にあることを考えるとその差は歴然である。ジェンダーギャップ解消において、日本が世界に大きく劣後することはこれまでみてきたとおりだが、先行する各国にもジェンダーギャップは根深い問題として依然として存在し続けていることも理解しておく必要がある。2023年にノーベル経済学賞を受賞したハーバード大学のクラウディア・ゴールディン教授の功績は女性労働の歴史と男女の賃金格差についての包括的な研究である。ゴールディンは1878年から1978年に生まれた大卒女性を出生年別に5つのグループに分け、雇用と家庭の領域においての女性達の願望と選択に焦点を当てた分析を行っている。その中で、1944年から1957年に生まれ、1960年代半ばから1970年代後半に大学を卒業した第4グループにおいて、前の時代の第3グループとの間で最も極端な変化が生じたことを指摘している。この時期に女性の4年制大学卒の割合が急速に上昇、長期的なキャリアを意識して専攻を選ぶ傾向が顕著になったという。このような経過を辿りつつも、今なお男女間で賃金格差は続いており、その要因が子どもの誕生にあるとゴールディンは指摘する。いわゆる「チャイルド・ペナルティ」と呼ばれる先進国に共通の問題である。オックスフォード大学のリンダ・スコット名誉教授も、その著書で「経済的な不平等があらゆる国の女性人口に明確なパターンとして表れている。いずれにも、女性の不利な立場を持続させている同じメカニズムがある」と述べている。これらのことを踏まえて、ジェンダーギャップ問題の本質を理解することが大切であり、そのうえで、日本の大きな後れの理由や社会・組織が抱える問題の構造を考える必要がある。まずわが国の現状を確認しておきたい。既に政治・経済に関する一部指標は紹介したが、内閣府がまとめた「第5次男女共同参画基本計画における成果目標の動向」(2024年4月30日時点)から、課長相当職(公務員はいずれも本庁。国家公務員のみ課室長相当職)の女性割合の最新値(2023年)をみると、国家公務員7.5%、都道府県14.4%、市町村19.5%、民間企業13.2%となっている。全ての値が上昇しているもののいずれも2割にすら達していない。その一方、男性の育児休業取得率をみると、世界的に手厚いとされる育児休業制度による後押しもあり、2022年度において国家公務員43.9%(2018年度12.4%)、地方公務員31.8%(2019年度8.0%)、民間企業17.13%(2019年度7.48%)といずれも上昇し、明らかな変化が起きつつあることが分かる。「令和5年版男女共同参画白書」(2023年6月)も、特集の第2節「根付きつつある新たな生活様式・働き方」で、若い世代の女性は、上の世代よりも、就業継続、昇進、管理職になることへの意欲が高く、若い世代の男性は、家事・育児等への抵抗感が上の世代と比較して少なく、家事・育児等への参画意欲や育児休業取得意欲も上の世代と比較して高い傾向にあるとの見方を示している。その一方で、無償労働時間の女性への偏りや長時間労働の雇用慣行がこれらの阻害要因とし世界的にも根深いジェンダーギャップ問題格差の背景にジェンダー規範とステレオタイプ

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