カレッジマネジメント242号
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142030年頃までに自立的・持続的な産業発展の実現を目指す初等中等高等教育における成長段階に応じた人材育成を通じた「イノベ教育」RTF研究棟業とベンチャーとアカデミアがうまく融合できるとさらに面白いことになるのでは」と若井氏は述べる。2つ目の機能は「異分野交流・地域交流の促進」である。「定期的に研究分野のカンファレンスを開催してもらい、企業や行政、大学等の交流の場として活用してもらっています」と若井氏は説明する。ロボットの実演や企業マッチング、地域住民がロボットに触れあう等を目的にしたイベント「ロボテスフェスタ」の開催、業界有識者に講演をしてもらう等で、県内外の人流を喚起している。特に工学系の大学生は地元企業を知らずに東京へ就職してしまうことが多いため、地元企業の研究開発等に触れてもらい、Uターン・Iターンの促進にもつなげたいという。さらに幅広い認知の向上が課題だ。追い風となるのは今年6月に、市街地でのドローン配送の社会実装を目指す「新技術実装連携“絆”特区」に指定されたことである。全国に先駆けてドローンの社会実装を実現し、さらなる技術・産業集積を実現することが、こうした課題解決につながると見る。また、認知向上のためには全国レベルの展示会に積極的に参加し、出展者セミナー等で周知を進めていく必要もあるという。3つ目は「次世代人材育成」だ。イノベ機構や他の事業者と連携し、地元の初等中等教育対象にロボットやAIの実演や出前授業等で、産業普及と啓蒙活動を行っている。「教育活動においては、学校の要望に応えるだけではなく、人材育成という観点でさらに協働していきたい」と若井氏は意気込む。前述したロボット・ドローン以外の分野を含めた産業集積は現在どのような状況なのか。重点6分野を中心に研究開発実証拠点や企業の誘致が進み、400件を超える企業立地、4000人を超える雇用創出を実現し、域内総生産(建設リビングロボット業を除く)で見ると、全国水準の成長率よりは下回るものの、震災前の水準に戻りつつある。ただし、浜通りの中央に位置する双葉郡の8町村においてはまだ震災前の3割弱に留まっている等、自治体ごとに復興ステージの差がある状態だ。「2030年頃までに全国水準並みの域内総生産等の成長を達成することで、自立的・持続的な産業発展の実現を目指し、引き続き関係機関と連携して取り組んでいきたい」と波多野氏は述べる。次に、教育・人材育成についてご紹介したい。福島県では、イノベ教育なる教育を展開している。教育・人材育成部副部長の飯田 喜之氏は、イノベ教育には2本の柱があると話す。「まずは地域への思いを持ち、イノベ構想、福島の復興・創生や地域を牽引する人材育成。そして、福島の地からイノベーションを創出する人材を育成するという点です」。この2点を達成するため、成長段階(小学校・中学校・高等学校・大学等)に応じて、企業や研究機関等と連携した「出前授業」「視察研修」等を通じて、「イノベ構想」や地域理解を深める取り組みを行っている。初等教育にはまず地元に足を運び、理解の裾野を広げる教育を。新課程「探究」をベースにある程度自分の軸足ができてくる高校段階に対しては、学校の専門性、特性・地域性に沿った学校ごとにプログラムを開発する。「企業から高校生にお題を出してもらい、アイデアをぶつけて探究を深めるプログラムを設計したり、より専門性が高い工業高校や農業高校は課題と専門性を結び付けて自分なりの解を出す支援を行ったりしています」。福島ならではの地域性や課題感が初等中等教育の場で子ども達を惹きつけていく。特に双葉郡8町村では、地域の「ひと」「もの」「こと」を題材に取り組む探究的な学習「ふるさと創造学」の実施を支援。各校の「ふるさと創造学」の取り組みを横断共有する「ふるさとテトラ・アビエーション

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