15大学等の教育研究活動を支援し、長期的な人材育成基盤構築を目指す創造学サミット」等も開催し、ふるさとに根差した魅力ある学校づくり支援を続けている状況だ。こうした成長段階に応じた教育活動での支援を通じて、地域の将来を担う若い世代が根付いてくれることを目指している。7年間にわたる活動の手応えとして、「活動を通じて子ども達の学びが広がっている、深まっているのは間違いないと感じます」と飯田氏は述べる。「課題解決、探究を通じて、福島にどう自分が貢献できるかという当事者意識のマインドが強く、キャリア形成をしている若者も増えてきています。地元貢献意欲が高い若者が増えてきているのは非常に喜ばしいことです」。被災地を「学ぶ場」として発想を転換し、その価値の大きさと希少性を軸に多様なセクターを呼び込み、その状況に対する段階的な教育設計が奏功している状況だという。高等教育機関の知見を復興に生かそうとする動きもある。「復興知」事業がそれだ。2018年度から2020年度の間は、全国の大学等が有する福島復興に資する「知」を浜通り地域等に誘導・集積するため、浜通り地域等で市町村と協定を締結し、拠点を置き教育研究活動を行う大学等の支援を行う「大学等の『復興知』を活用したイノベーション・コースト構想促進事業」を実施。背景について、教育・人材育成部教育研究支援課長の兼子 貴裕氏はこう説明する。「東日本大震災以降、復興を目指す地域の取り組み・課題に対し、全国の様々な大学等が独自に、現地の自治体等と連携しながら教育研究等に取り組んでいる実態がありました」。自治体や大学等へのヒアリング等を経て、浜通り地域等が学生と教員にとって学びの場、あるいは研究テーマとしても非常に有意義であること、そして、イノベ構想を推進し、新たな産業基盤を構築するためには、知の拠点である高等教育機関を活用することが必要であると判断。持続的に先進的な知の集積に向けた取り組みを推進していくため、「まずは3年間、本事業を通じて大学等の現地拠点の基盤を強化し、教育研究活動を根付かせるために組織的に支援を行いました」。2021年度からは、これまでの活動で蓄積された復興に資する知をさらに生かし、浜通り地域等に人材の教育・育成基盤を構築するため、「大学等の『復興知』を活用した人材育成基盤構築事業」を5カ年の事業として公募し、17大学等21事業を採択し取り組んでいる(図3)。「現事業は、人材育成基盤の構築というなすべき目的に対して、複数年度採択(5カ年)を採用しています。5年間で達成すべきことと、それに応じた各年度の事業計画を提出していただき、事業終了後は自走して活動を継続することを前提にしています」と兼子氏は説明する。採択事業を見ると、複数の教育機関等が協働してプロジェクトに当たっている事業が多い。これはまさに、多様なプレイヤーが専門知を結集しなければ課題解決の道筋を立てづらい横断的な課題が多いこと、故に参画大学にとっては学生の教育フィールドとして非常に魅力的であることを示していると言えそうだ。ここまで見てきたように、イノベ機構は2017年の発足以降、復興を旗印に多様な活動を行ってきた。震災前よりも良い地域づくりを目指す「創造的復興」と、その軸足である次世代産業育成。高等教育機関や企業等はこうしたスタンスと横断課題の山積する場の価値に魅力を感じ、共創のプレイヤーとして身を投じているのであろう。次頁では共創プレイヤーの1つである会津大学の取り組みをご紹介したい。図3 大学等の「復興知」を活用した 人材育成基盤構築事業 採択マップ特集1● 産学官共創の未来
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