28組織と組織をつなげるにはどうすべきかの位置づけはまだ確立されていないのではないかと感じるのですが、そのあたりはどのようにお感じですか。ある程度の役割やポジションが決まっていなければ、いかにやる気のある人材でも、そのモチベーションを維持し続けることや定着することは難しいのではないかと思うのですが。杉山 「研究」という領域であれば、プロボストの立場に就いて、一定の権限を持つケースがありますが、産学連携についても、そういった形になれば進めやすいと思います。小野寺先生や私は、あまり特定の役割や枠組みを気にせずに行動していますが、大学においてそういった動きをしている人は、ほぼほかにはありません。小野寺 若手のコーディネーターがモチベーションを維持するために、コーディネーターからサブチーフ、チーフコーディネーターへと上がるキャリアアップのサポートは大事だと考えています。ソーシャルイノベーションを生み出すシステムをほかの地域に転写する取り組みにおいても、その地域の課題解決とエコシステム構築のリーダーになるというステップが見えるのは、彼らにとっても安心に繋がると思います。小林 キャリアステップを上がるうえで、どのようなことが評価につながるのでしょうか。小野寺 データを踏まえて、地域課題をどう解決し、経済システムを作り上げたかを見ます。具体的には、年間ベース3件の課題解決型の事業を創出することです。小林 評価の仕組みやそれに応じたキャリアステップが見えてくると、後に続くコーディネーターの育成につながりますよね。山梨も、色々問題はあるにせよ、産官学連携は日本の中では進んでいると感じます。その要因や背景としてはどのようなことがあるのでしょうか。杉山 本来は地方の大学はこれからの地域を支える人材を作るのが役割だと思いますが、山梨では人口が減少し地方経済も衰退するなか、教育も就職も東京中心、偏差値中心のパドックレースが行われているままです。それでも、これを続けていたらもう地方は持たないということに早く気づくことができるのは地方だからこそのはずです。それこそ明治維新で、薩長や土佐が江戸幕府に頼っている危機に気づいたように、です。小林 産学連携というとき、特定の教授と個社の共同研究というのはよくあったと思います。けれども社会課題となると、組織と組織をつながなければ解決できないものが多いのではないかと思います。組織と組織をつなぐ秘訣についてはどうお考えでしょうか。小野寺 組織と組織をつなげるのはかなり難しく、企業が新しい事業を始めるときに、企業内部にプロジェクトを作っても成功しません。先ほども言ったように、やはり外に組織を作って、その組織を大学、自治体、金融、企業がサポートするという体制を作り育てていくという方法が良いと考えています。そうでないと、コーディネートも組織の壁と壁の間に挟まり、部署やセクションの役割意識に阻まれてうまくいきません。
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