29産官学連携コーディネーターが活躍するために必要なこと 小林 そう考えると、産官学のプラットフォーム的な外部機関がその役割を果たせればと思うのですが、全国のプラットフォームの全てがうまく機能しているわけではないように思えます。杉山 プラットフォームの中には、肩書きだけの充て職の方が集まっているケースも多いのです。そういうプラットフォームは、大学に対する期待も明確化していないので、ありきたりな意見しか出てこない場になっているのだと思います。小野寺 地域の課題を自分事として受け止められている人が集まる場になっていなければ意味がないですね。また自治体も単にオペレーションをするのではなく、プロジェクトをまとめながら、新しいものを生み出す能力、課題解決能力が求められると思います。小林 今後、課題が多い地域において、どうすればコーディネーターが活躍していけるのかについて、お考えをお聞かせください。小野寺 私は、ソーシャルイノベートの仕組みを作りながら、コーディネーターとなる若者を育成することが、我々世代の責任だと思っています。今、バーチャルリアリティ研究所っていうものを予算化しスタートしようとしています。XRのテクノロジーを使い地域課題を解決しようという取り組みで、様々な企業や世界のトップクラスのテクノロジーリーダーが参加し、併せて教育も行います。場所を選ばずに高い教育を受けながら、特定の地域の課題解決の仕事ができるのです。こういったチャンスに面白みを感じ、地域に関心を持った人材を輩出できるようにサポートしていきたいと思います。杉山 私は、産業界を育てていくということだと考えています。山梨では、半導体産業が非常にすそ野が広いので、半導体産業を盛り上げるために、現在仕掛けを行っています。もう一つ、山梨県にはファナックがありますが、同社の製品を教育機関として導入し、ロボティクスを学べるようにして今後様々な産業、企業で働くうえで活用できる学びにしたいと考えています。今後の地方の人口減少社会において、取るべき道は3つだと思います。1つ目は、ロボティクス化や AI 化による無人化への取り組み。2つ目は、「百姓になる」、つまり昔のお百姓さんの語源ですが一つのことのプロフェッショナルではなくて、たくさんのことができる人間になるということ。3つ目は、自分達が欲しい人材は自分達で育てるということ。そのために、企業にも教育にも入ってもらうということだと思います。小林 今伺ったことを実現するために、大学の経営層が行うべきことは何でしょうか。杉山 私はやはり組織の壁を越えセクションを横断できるようなポジション、組織を作ることだと思います。そして若手に期待して権限を持たせるべきだと思います。小野寺 権限の付与もそうですし、教育すること、育成の仕組みを作ることが大事だと思います。期待されると今の若者はできると思っています。産官学連携コーディネーターの組織体制に必要なこと特集1● 産学官共創の未来(文/金剛寺 千鶴子)大学の「外」に、産官学連携のための場を作り、大学、自治体、金融、企業がサポートする体制を。(小野寺)プロボストのように、一定の権限を持ち、縦割りの組織を横断した動きができるとコーディネートは進めやすい。(杉山)
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