自立的に運営するための仕組みと体制を構築31発内容や専門性)に着目する。拠点自らが掲げた「拠点ビジョン」は、他拠点と類似する点はあるものの各々で異なっており、例えば、ヘルスケア(心の健康を含む)、資源・エネルギー循環、食と農林水産業、社会インフラといった領域と関連し、結果的にプログラム全体として幅広い範囲の領域がカバーされている。また、各拠点は、拠点ビジョンの実現に向けたバックキャストによりイノベーションに資する研究開発課題を設定し、拠点活動を行っているため、各拠点に参画する研究者は、ある特定の研究分野からではなく、人文社会科学を含めた多様な科学技術分野を専門とする者から構成される場合が見られる。こうした多様な専門性を有する参加者に加えて、大学、企業、自治体といったステークホルダーが拠点に参画し、多様な価値観を有する人材が集まっている点も本プログラムのユニークな点であるといえる。<具体的な取組み事例>続いて、具体的な拠点の活動内容を紹介する。全ての拠点を取り上げることは難しく、本稿では、地域の特性や大学等の強みを活かしつつ産学官の共創を通じて、社会変革を社会像(ビジョン)共有企業等との共同研究推進国の成長と地方活性化持続可能な社会の実現科学技術イノベーション目指して取り組んでいる二つの拠点について記載したい。最初の事例は、弘前大学を代表機関とし、村下教授がプロジェクトリーダーを務める拠点である。本拠点は2022年度地域共創分野本格型として採択され、「健康を基軸に地域経済を発展させ、高QOLの健康寿命を延伸するwell-beingな地域社会モデルの実現」を目指して活動を進めている(ⅱ)。その特徴の1つは、短命県返上の一環として2005年に開始した「岩木健康増進プロジェクト(弘前市岩木地区の住民を対象とした大規模住民合同健診)」により蓄積してきた「岩木健康ビッグデータ」である。約3,000項目から構成され個人のゲノムから生理・生化学、生活活動、社会環境にわたる広範囲のデータを含み、世界的にも類をみない、健康人の経時的健康情報データを整備してきている。さらに、このビッグデータの解析による科学的エビデンスの構築に向けて、京都大学奥野教授や東京大学井元教授らとの連携体制を整備し、これまでに、AI解析により3年後の発症予測が可能な疾患予測モデルを構築しつつあり、認知症や生活習慣病等の病気の予兆の発見方法や予防法を開発する研究とビジネス化に取り組んでいる。こうした他大学との連携を通じた研究開発活動の推進産学官共創システム図1 プログラムのコンセプトイメージ特集1● 産学官共創の未来社会が社会が変わる変わる人が人が変わる変わる大学が大学が変わる変わる共創の場
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