カレッジマネジメント242号
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34地方創生10年のあゆみ地方大学・地域産業創生交付金事業Contribution寄稿本年(令和6年)は、人口減少の歯止めと東京圏への過度な人口集中の是正を掲げた「まち・ひと・しごと創生法」が施行され、地方創生の取組が本格的に始まってから10年の節目を迎える。内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局・内閣府地方創生推進事務局では、これまでの取組による成果や課題、今後求められる取組の方向性を示すため、本年6月、「地方創生10年の取組と今後の推進方向」を取りまとめた。この文書では、この10年間の地方創生の取組について、「各自治体においては、地域の課題を自ら把握し、その解決に向けて行政と民間、住民等が連携した取組が行われ、暮らしやすさの向上に加え、地域によっては人口増加や、2013年当時の人口推計の値を上回るところもあり、この中には地方創生の取組の成果と言えるものが一定数あると評価できる」としつつ、「国全体で見たときに人口減少や東京圏への一極集中などの大きな流れを変えるには至っておらず、地方が厳しい状況にあることを重く受け止める必要がある」と指摘している。「東京圏への一極集中」については、まち・ひと・しごと創生法が施行された2014年における東京圏への転入超過数は約10.9万人であったが、その後、東京圏への人の流れが強まり、2019年には約14.6万人に増加した。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、2021年には約8万人まで減少したが、2022年は約9.4万人、2023年は約11.5万人となるなど、再び東京圏への人の流れが強まりつつある(図 1)。特に、進学や就職を契機として10代後半及び20代の若者の転入超過が続いており、その傾向は男性よりも女性において顕著である。加えて、我が国全体で生産年齢人口の減少が急速に進む中、あらゆる産業において労働力の不足が顕在化しており、特にデジタル人材などは、概して東京圏に集中しており、地方で確保することは困難になっている状況である。このため、これまでの施策の効果等の検証を更に深め、これまで以上に効果的かつ積極的な施策を展開していくことが必要である。ここでは、大学を中核とした地方創生の取組である地方大学・地域産業創生交付金事業の現状と課題について説明したい。地方大学・地域産業創生交付金事業は、地方大学・産業創生法(H30.6施行)に基づくものである。本法は、急速な少子化の進行や地域の若者の著しい減少によって地域の活力が低下していることに鑑み、「地域における大学の振興」や「若者の雇用機会の創出」のための措置を講ずることを掲げている。推進する施策の中核として大学を位置づけ、基本理念として、大学、地方公共団体、国の密接な連携の下で施策を進めることを求めている。地方大学・地域産業創生交付金事業は、地方公共団体の首長のリーダーシップの下、地域の産官学の連携によって、全内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局内閣府地方創生推進事務局 参事官(1)地方大学・産業創生法(2)事業概要塩田剛志地方大学・地域産業創生交付金事業の現状と課題について

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