カレッジマネジメント242号
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37地方大学に期待すること広がっている。また、高知大学は、スーパー・リージョナル・ユニバーシティ(SRU)を標榜しており、本取組の成果を教育課程に反映した学部改組や、生産者や関連企業の技術者を対象とした「IoP塾」の開講といった取組も展開している。徳島県・徳島大学「次世代“光”創出・応用による産業振興・若者雇用創出計画」(平成30年度~)世界有数のLEDメーカーをはじめLED関連企業が多数集積する強みを生かし「次世代の光」をテーマとした魅力ある大学づくりと、光関連産業の振興に取り組むことで若者が集う徳島の実現を目指している。徳島大学は「ポストLEDフォトニクス研究所(pLED)」を設置し、次世代光研究の強化・充実及び医療分野等とのシームレスな連携を目指しており、令和5年度には企業への技術移転を促進する「次世代光インキュベーション機構」を創設した。従来より100倍以上迅速かつ好感度に検出可能な光バイオセンサーチップの開発に世界で初めて成功、県内企業が本事業の成果である「深紫外LED」を活用し商品化、といった事例が生まれている。平成30年度に事業を開始して以来、これまで13地域を採択し、事業実施地域においては、「キラリと光る地方大学づくり」や若者の雇用創出に向けた取組が具体化している。一方で、ここ数年、地方公共団体からの申請件数が、私どもの想定を下回って数件程度にとどまっており、また、前述のとおり、全体として東京圏への人の流れを変えるには至っておらず、本交付金の活用の広がりに課題がある。地方公共団体と大学に本事業を活用していただくためには、地方公共団体における地域の中核的産業を振興するための戦略と、大学における機能強化の方向性のすり合わせが必須であり、地方公共団体と大学間の密接な連携が必要となる。内閣府においては、本事業の活用を促進するために、地方公共団体での計画作成段階(申請書準備段階)から伴走支援を実施しているが、地方公共団体と大学間の調整がうまくいかず、申請に至らないケースが見受けられる。こうした状況を踏まえ、本事業の参考とするため、昨年度、都道府県、政令指定都市、中核市、県庁所在市を対象に、地域における産官学連携の取組等についてアンケート調査※1を行ったところ、133団体中、123団体から回答をいただい※1 「地域における産官学連携の取組等に関する調査」については、内閣府地方創生推進事務局のホームページに記載(https://www.chisou.go.jp/sousei/about/daigaku_kouhukin/240329_chousahoukoku_daigaku.pdf)※2 本事業に関するお問い合わせは、下記までご連絡ください(https://www.chisou.go.jp/sousei/about/daigaku_kouhukin/index.html)た。本調査によると、大学と連携した産業創生に係る予算事業は約7割の地方公共団体にあり、そのうち、8割を超える地方公共団体が順調に進展していると回答している。また、幹部職員が、産業創生に関して、地域の大学とコミュニケーションをとっていると回答した地方公共団体は約7割であり、当該団体は、産業創生の取組が順調に進展している割合が高い。更に、地域の大学と、多様な役職間でコミュニケーションをとっている地方公共団体ほど、大学と連携した産業創生に係る予算規模が大きい傾向にある。また、約9割の地方公共団体が、今後、地域の大学・高専と連携した新たな取組を行う意向があると回答している。このように、本調査からは、地方公共団体の地域の大学に対する高い期待とともに、地方公共団体と大学間の密接なコミュニケーションの重要性が伺える。本交付金を、多くの地方公共団体・大学に活用いただき、若者の地方定着を図っていただくための一つのポイントは、地方公共団体と地域の大学間のコミュニケーションの促進ではないかと考えている。大学は「学術の中心」であり、期待される役割も様々であるが、地方創生の観点からは、地方大学には、地方公共団体や地域の産業界と密接に連携し、全国から若者を惹きつける“強み”を発揮していただくとともに、その“強み”によって、地域における産業・雇用の創出や専門人材の育成といった地域課題の解決に重要な役割を果たしていただくことを期待したい。そのためには、特に、地域の振興戦略を立案する地方公共団体との連携は不可欠であり、学長・首長間を筆頭とした様々な階層での密接なコミュニケーションが重要と考える。地方大学や地方公共団体におかれては、連携を深化する一つの契機として、地方大学・地域産業創生交付金の活用について検討いただけると幸いである※2。(6)本事業の課題と今後の方向性 特集1● 産学官共創の未来

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