DATACASE STUDIES248地域の有力校が四大を開学全授業PBLによるリーダーシッププログラムかつて地域には、地元企業に安定した就職を誇る地域の1番校のような短大が存在した。北海道武蔵女子短期大学もまた然りで、1967年の開学から57年間培ってきたキャリア教育「礼節の武蔵」と、就職率はもとより就職の質への高い評価から「就職の武蔵」の定評を持つ。その短大が2024年4月、3学科(教養、英文、経済)のうち経済学科を四年制大学として発展的に改組し、北海道武蔵女子大学(経営学部)を開学した。吉地 望副学長は、「短大の募集が右肩下がりになるなかで、四大を作る話が実現に向けて加速化した」と開学の経緯を説明する。ここ10年でビジネス関連の進学需要が伸びる一方、北海道は女性の社会進出に関する指標で全国平均を大きく下回っていた。長期間かけて分野選びの検討を行う中で、女性の活躍に対する社会の要請が高まる今、4年間かけてより高度な教育を行う経営学部という方向性を定めた。出口の見通しでは、短大の就職実績が高く、採用を通じて日頃からコミュニケーションを取っている企業等(北洋銀行、ホクレン農業協同組合連合会、東京海上日動火災保険、日本アイ・ビー・エム デジタルサービス、札幌市役所)にヒアリング調査を実施。構想する人材像へのニーズの高さや、四大化で管理職も期待できることが確認できた。こうして北海道初の「女子のための経営学部」が誕生した。育てたい人材像には特にこだわり、VUCA社会(予測が難しい環境)とSociety 5.0社会を生き抜く4つの力として、「想像力」「構想力」「実践力」「協働力」の育成を掲げた。教育の2本柱は「PBLによるリーダーシッププログラム」と「経営×ICT×デザイン」である。「予測不能でお手本がなくても、豊かな想像力と構想力をもって、自ら課題を発見・解決していく実践力を大事にしています。実践していくときには協働力が必要になりますが、これは座学では身につかないよねと。では全ての授業でPBLを通じたリーダーシップ開発をしよう、少人数制の本学なら可能だという話になりました。こういう大きな文脈の中でPBLによるリーダーシップは生まれたのです。」(吉地副学長)リーダーシッププログラムでは、1年前期から全科目必修のPBL授業を3段階で実施する(図表1)。「リーダーシップ開発演習Ⅰ」を担当する宮本 知加子准教授(心理学担当)は、「リーダーシップと聞くと従来の牽引型リーダーシップのイメージを持つ学生が多いが、今求められているのは、フラットな組織の中で、各メンバーが相手に影響を与えていく『権限を持たないリーダーシップ』だということを教え、推進している」と話す。リーダーシップ開発演習Ⅰは、入学したてのお互いを知らない状態で自己理解と他者理解を深める、協働の入口の役目を担う科目だ。「今まさにホクレン様とPBLを実施していて、1年生で経営的知識もまだないフレッシュな状態で課題解決に挑み、どのような役割が果たせたかを振り返りました。教え込むというより、体験しながらリーダーシップの概念を捉えなおします。」(宮本准教授)大学副学長 経営学部長吉地 望 氏北海道武蔵女子大学学生数 82名(1年生のみ)、1学部(経営)経営学部准教授宮本 知加子 氏北海道武蔵女子大学女子のための経営学部が育む「リーダーシップ」と「経営×ICT×デザイン」
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