カレッジマネジメント242号
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57(一社)デジタル人材共創連盟入試科目を設定するということは、大学の学修をどのレベルから始めるかを決定することである。ぜひ、「情報Ⅱ」を入試科目として実施し、高いレベルから大学の学びを開始してもらいたい。入試科目として「情報I」及び「情報Ⅱ」をどのように扱っているかは、企業等から見た際、その大学の情報教育についての見識、育てようとする人間像にまで関係してくる。多くの大学が「情報Ⅱ」を入試科目として導入するようになれば、高校でも「情報Ⅱ」の履修が進み、理系は「情報Ⅱ」を必修とするようになるだろう。筆者は、文部科学省の高等学校情報科の教科調査官として、「情報I」「情報Ⅱ」などの現行学習指導要領、解説、教員研修用教材等を取りまとめた後、京都精華大学に移り、経済産業省で、「デジタル関連部活支援の在り方に関する検討会」の座長として、「Society5.0を見据えた中高生等のデジタル関連活動支援の在り方提言」をまとめた。(一社)デジタル人材共創連盟(デジ連)(図2)は、その提言を社会実装するための組織として誕生した。現在、情報科教員の研修、大学の情報科教員養成課程の改善、高校生用の教材作成、教育サポーター制度(企業や大学等の人材が高校教育に参画するための研修と認定)、DXハイスクール事業を進めるためのプラン提供、教育委員会と企業や大学との協力関係の構築、大会などの高校生のデジタル活動のアウトプットの機会の創出など、様々なことに取り組んでいる。おかげさまで、Adobe、東京書籍、実教出版、大日本印刷など30社以上の企業に会員としてご協力いただき事業を推進している。また、日本IBMとは、同社の提供する無償の教材である「IBM Skills Build」のパートナーシップ契約を結んでいる。経済産業省の検討会から生まれた組織であり、代表理事が文部科学省の元教科調査官であることから、両省との関係も良好である。DXハイスクール事業については、最も早い段階から取り組んできており、補助金を活用した多数のプランを提供(一社)デジタル人材共創連盟 https://dle.or.jp/全国情報教育コンテスト https://zenjyocon.jp/DXハイスクールhttps://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shinkou/shinko/1366335_00009.htmしている。初期の段階は、文部科学省の提示した取り組み内容に沿って以下の3つのプランを作成した。1,000万円という額のプランを学校が単独でまとめることは難しいと判断したことと、「情報I」「情報Ⅱ」の学習指導要領を取りまとめた者として、その趣旨が生かされるものを提示したかったからである。Aプラン デジタルを活用した情報Ⅱ・探究や課外活動の Bプラン 情報Ⅱや数学Ⅱ・B、数学Ⅲ・C等の履修推進Cプラン 情報を重視したコース設置・学科転換推進これらは、「デジタルものづくり」「IoT」「データ活用」など、複数のモジュールからなり、学校の状況に応じてカスタマイズも簡単にできるものとして作成した。社団と筆者に直接寄せられた問い合わせの件数は300を超えている。その後、会員企業から、「生成AIを活用した講座プログラム」「数理・データサイエンスを可視化して学ぶ」「メタバースやブレインテックが作る情報空間とセキュリティー学習」「デジタルを活用した情報Ⅱ・探究や課外活動の推進」などのプランを作成いただいた。これらについては、筆者の方で学習指導要領上の位置づけや高校教育で活用するための助言を行っており、実際に多くの学校に導入されている。こういうことを進める際に企業の協力は不可欠であり、それを仲介して教育現場に届ける我々のような中立的な団体の必要性も強く感じたところである。これらのプランは大学教育でも活用できると考えている。デジ連としては、DXハイスクールのアウトプットとしても適した大会として、「全国情報教育コンテスト」の開催を決定している。情報の授業や総合的な探究の時間、課外活動などで作成したものを気軽に出せる大会として募集を開始している。高校生の学習、探究、発表に大学が組織として参画することは、人材育成という面からみて意義深いことである。

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