61なお、年内で学力を重視すると聞くと、「では主体性評価等は蔑ろか」と誤解をする向きもあろう。しかし、東洋はそちらにも手を打っている。高大連携の動きとして強化するのは連携協定。契機になったのは2016年からの麹町学園女子中学校高等学校との連携だ。今や13学部との連携協定を締結し、生徒の大学への訪問や大学教員による出張講義のほか、高校側に「東洋大学グローバルコース」という専用コースも設置。このように、双方の教育ビジョン等の合致を背景に高大で連携して生徒を育成することを目的にした協定で、協定校の生徒は一定の基準を満たせば東洋大学への進学が可能となる仕組みだ。同校出身の入学者の追跡調査を経て、大学での成績や活動状況が非常に良い結果が検証できたため、こうした枠組みを増やしていくことにしたという。こうした協定相手を吟味しながら広げていくことで、東洋大学での教育に対する主体性が高く、ポリシーに合致する入学者を確保していく方針だ。「本学は現在、入学者の16~17%が指定校推薦です。ばらつきの大きい入試区分なので、数自体は絞り、代わりに親和性の高い高校との連携を増やしていきたい」と加藤氏は説明する。大学をよく知るロイヤリティの高い層の育成枠とも言えるだろう。「入学者に占める第一志望者の割合を50%以上へ」という高い目標を掲げ、その手法の1つとして高大連携を進めているという。年内入試に学力重視型を導入し入学後伸びる基礎学力を持つ学生を確保すると同時に、理念合致する高校と人材・志願者数:前年度比118.8%の9万9593名(+1万5733名)→大学志願者マーケット全体の6.3%に ・大学入学共通テスト利用入試の志願者数が大幅に増加=学力上位のすべり止めが増加:前期は前年度比124.2%の4万1214名(+8028名) ・一般入試も全日程で志願者数が増加:前期+5849名、中・後期+1125名 志望度の多い学生が増えてきている ・5教科・4教科型入試の志願者が過去最高の合計1万1133名(占有率11.2%)に:一般選抜入学者の14%=7人に1人は多教科型で高学力層 ・2011年度入試から文系学部の一般選抜で数学必須入試を導入→2024年度入試では文系9学部を対象に募集人員を564名に拡大 →志願者数8102名、該当学部全志願者数の10.8%:一般選抜入学者の17~18%を占める=6人に1人 特に経済学部経済学科では数学必須入試での入学者が一般選抜入学者の約76%に育成で連携する。こうした改革を進められるのは、15年かけて進めてきた入試改革の成果として、入学者構成が東洋にとって望ましい状態を作れている今だからこそであろう。24年度入試に関する主な事項を図表3にまとめたが、全体の数が増えている中、志願者が学力上位帯にシフトしており、大学教育に必要な教科科目が入試で機能していることが分かる。この状態変化は、もちろん狙って継続的に取り組んだことだ。「即効性がある改革も長期的に見るべき改革も、いずれも東洋の目指す教育に対して有効な手になっているか、細かく成果を検証し、学内で共通認識としてデータを下敷きに議論を重ねながらここまで来ました」と加藤氏は述べる。特に注目すべきは毎年の学生満足度アンケートの解釈だ。「学生アンケートで教育満足度が下がる時は、入学者の学力が上がった時と合致しています」。高学力帯にとって今の教育が物足りないサインだという。「学生の意欲や学力が想定より高くなれば、今の教育に満足しない層が出てきます。それを根拠にしつつ、社会や時代に応じた教育のチューニングを行っています」。その結果が、世間で認知される改革校というブランドにつながってくる。教育は社会の要請のみならず、入学者の質の変化に応じても変化させていく必要がある。その両面を見据えた動きなのだ。年明け入試は募集人員と合格倍率や合格ラインのコントロールで志願者数を確保し、高大連携協定で望ましい志願者層は確保したうえで、年内入試も教育起点で確実にテコ入れしていく。東洋は、目指す教育の実現に向け、「学修意欲の高い入学者の確保」「第一志望者の割合を50%以上へ向上」「アドミッション・ポリシーに合致する入学者の確保」といった取り組みを展開・強化しているのである。 (文/鹿島 梓)図表3 2024年度入試結果概観(第1部)大学へのロイヤリティの高い層は理念合致の高大連携協定で確保する大学教育に資する入学者獲得状況の実現で次のフェーズへ
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