63持続的なプログラムの開発と更新に向け専門組織を設置地域一体で学びの環境整備に取り組む3D-Digital ものづくり実践講座様々な講義形式を用いて実施したトライアル講座での結果をうけ、デモンストレーションやワークショップなども組み合わせ設計されている。奈良の課題に応えるリカレント教育プログラムをいかに開発し、どう継続させていくか。その主体となるのが、2024年5月に新しく設けられた「リカレント教育推進部門」である。同部門の部門長、伊﨑昌伸特任教授は言う。「大学側の都合に合わせてプログラムを作るのではなく、産業界、地域のニーズに応えることを優先します。奈良国立大学機構だけではなく、ほかの機関にそれに適合する研究者がいらっしゃるならその方にお願いするのです」。そうしたプログラム企画の基盤となるのが、昨年から構築している「教育研究データベース」だ。新たにプラットフォームに加わった奈良先端科学技術大学院大学などを加え、研究者の情報は800件以上にのぼる。例えばアジャイルな試作や多品種少量生産において今後ますます活用が見込まれる金属3Dプリンター。高額で中小企業が自社だけで導入するのは難しくても、奈良工業高等専門学校や県の試験場にあるそれを使用することはできる。「私はもともと技術系の教員ですので、そういう情報を提供しつつ、実際に役立てることができるよう、解析であったり、表1 なら産地学官連携プラットフォーム・リカレント教育 産業界奈良県商工会議所連合会奈良県商工会連合会奈良経済産業協会奈良経済同友会奈良県中小企業家同友会社会福祉法人奈良県社会福祉協議会DMG森精機株式会社大和ハウス工業株式会社株式会社教育総研共同製版印刷株式会社株式会社大和農園金融機関株式会社南都銀行奈良県信用金庫協会タスクフォース参画機関(2024/8/15時点)表2 なら産地学官リカレント教育プログラムの提供講座(2024 年実施。2024年8月30日時点の予定)講座名気候変動とエネルギーモチベーションとパフォーマンスの科学ならの歴史・文化・地域課題探究講座高等教育機関・文化財研究所奈良国立大学機構奈良県立大学奈良工業高等専門学校奈良先端科学技術大学院大学奈良国立博物館奈良文化財研究所奈良県立橿原考古学研究所放送大学学園行政機関奈良県奈良市経済産業省近畿経済産業局財務省近畿財務局対象企業経営者、金融機関・自治体・中小企業支援団体職員など上記に加え運輸業界職員、本講座に関心のある方データの処理であったり、必要な知識をストーリーを持ったかたちで講座化します。そのために、リカレント教育推進部門の中に『教育プログラム企画開発ワーキンググループ』が設けられました」(伊﨑氏)。「いちど作って終わりというのではなく、毎年見直してスクラップ&ビルドしていかなければなりません。持続的に運用していくという意味で、専門の『リカレント教育推進部門』が新設されたのは大きい。今後、プログラムの有用性の評価や収益構造の確立に取り組んでいくことができますから」(伊﨑氏)。「同部門には『学びの環境整備ワーキンググループ』も設けられました。目指すのは、企業全体で『どんどんリカレントにいってこい』と応援してもらえるような環境づくり。もちろん、一企業だけでは限界がある。そこで県や市、経済団体にも入ってもらい、既存の制度の周知はもちろん、ベストプラクティスの共有、中小企業のためのガイドライン作成などに取り組んでいきます。ゆくゆくは、人材育成に積極的な企業の認証制度や表彰、優遇措置といった制度の整備へとつなげていきたいと考えます」(松田氏)。「奈良の中で若者が定着して、女性が活躍して、そして奈良自体が元気になる。リカレント教育の推進により、奈良国立大学機構がしっかり役割を果たしていくことができると考えています」(伊﨑氏)。(文/乾 喜一郎 リクルート進学総研主任研究員[社会人領域])なら産地学官リカレント教育プログラム名称開設主体国立大学法人奈良国立大学機構 奈良カレッジズ連携推進センターなら産地学官連携プラットフォーム県内企業の人材育成ニーズの調査結果と県内教育機関の教育研究データベースを活用した教育研究シーズをマッチングさせ、リカレント教育プログラムの企画・更新を進めていく仕組み。令和4年度・令和5年度補正予算事業「地域ニーズに応える産官学連携を通じたリカレント教育プラットフォーム構築支援事業」採択。概要講座形態オンサイト(対面)、リアルタイムオンライン、オンデマンドなど各プログラムの目的に合わせ設定https://www.nara-ni.ac.jp/nara_colleges/recurrent/URL回数履修ガイダンス(共通)+9回(講義6回+デモンストレーション・ワークショップ3回)履修ガイダンス(共通)+6回(講義)履修ガイダンス(共通)+6回(講義5回+ワークショップ1回)履修ガイダンス(共通)+現地講義2回費用3300~6600円形式対面+オンライン対面(座学+現地講義)
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