カレッジマネジメント242号
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tnemeganaM ytisrevi IgnitavonnnU2023年度において、入学定員充足率が100未満の私立大学の比率が初めて5割を超え、53.3%となったことは承知の通りである。短期大学では未充足校の割合が92.0%に達している(日本私立学校振興・共済事業団「令和5(2023)年度私立大学・短期大学等入学志願動向」)。国公私立大学の経営や評価に関わり、多くの大学関係者と対話を重ねるなか、一般入試の志願者数の減少や入学者の学力低下に危機感を抱く声が数多く聞かれるようになった。特にこの1、2年で学生募集環境が急速に悪化してきたとの認識を示す関係者は多い。18歳人口は2017年の120万人を最後に再び減り続け、2023年は110万人、2024年は106万人と7年間の減少幅は14万人に達している。2025年、2026年と若干の回復を見るものの、2027年には110万人を下回り、2035年には初めて100万人を割って96万人になると推計されている(2024年7月19日開催中央教育審議会大学分科会高等教育の在り方に関する特別部会第8回配布資料「関係データ集」より)。上記特別部会が2024年8月に示した「急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について(中間まとめ)」においても、「これから先の急速な少子化は、中間的な規模の大学が1年間で90校程度、減少していくような規模」で進んでいるとした上で、「この危機に併せた対応をしなければ、今後は、定員未充足や募集停止、リクルート カレッジマネジメント242 │Oct. - Dec. 2024学校法人東京家政学院理事長・筑波大学名誉教授66経営破綻に追い込まれる高等教育機関が更に生じることは避けられない」と警鐘を鳴らしている。問題は、2024年度内には示される予定の答申により、国が将来像を示し、政策誘導を行ったとして、改革の実行主体は個々の大学であり、どれだけの大学がそのための構想力と遂行力を有しているかという点である。経営を担うトップは、何としても自校だけは生き残りたいと考え、学生募集の強化や附属校・系列校の拡大などに力を入れるだろう。留学生の受け入れ拡大や社会人教育の本格化などに活路を見いだす大学もさらに増えてくると思われる。その一方で、学生確保を優先すれば入学者の学力のばらつきは大きくなり、留学生や社会人の増加は教育・学生支援面での新たな負担をもたらす。教職員の意識・行動や教育・学生支援の仕組みの変革を伴わなければ、大学として教育の質を維持することが難しいことは自明である。このように環境変化が急速で、取り組むべき課題が増大し、かつそれぞれの難度が高い場合、トップマネジメント(本稿では理事長・学長、常務理事・副学長などを想定。なおトップという場合は理事長・学長)と現場の間で、環境や課題に関する認識、危機感や切迫感などに乖離が生じ、それらが拡大するのはどのような組織においても起き得ることである。特に、大学は組織特性上その傾向が強い。トップが踏ん103吉武博通大学を強くする「大学経営改革」 一気に押し寄せる18歳人口減少の衝撃トップマネジメントと現場の乖離をどう埋めるか淘汰・再編時代の大学経営に求められるもの〜マインドセットの変革と個別具体的な改革〜

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