カレッジマネジメント242号
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tnemeganaM ytisrevi IgnitavonnnUキャロル•S•ドゥエックの整理による2つのマインドセットトップマネジメント教員職員もう一つ重要なことは、改革は個々の大学の立ち位置や実情を踏まえた個別具体的なものでなければならないという点である。国が示す政策や認証評価機関の評価基準に沿うことは当然だが、真に解決が必要な課題やその優先順位等は大学ごとに様々である。設置形態、規模、選抜性、学問分野、立地(例えばキャンパスの数やキャンパス間の距離など)、地域性などによっても状況は大きく異なる。設置形態に関しては、国公私立で直面する課題も違う。国立大学の場合、長期にわたり運営費交付金の縮減が続き、現在は成果に応じて配分される割合が増加するとともに、給与単価アップや物件費高騰を賄いきれないという事態に遭遇している。また、施設整備費補助金の総額は国立大学全体の減価償却費総額から見て、低い水準に抑えられており、教育研究環境の維持・改善という点で危惧すべき状況にある。公立大学は、平成期に集中的な設置が行われたこともあり、本稿執筆の2024年8月現在101校を数える。それぞれに特色を有し、地域の期待も高いが、設置者である地方公共団体とその首長の意向に左右される面もあり、自治体派遣とプロパー(独自採用)によって構成される職員組織硬直マインドセット = fixed mindset自分の能力は石版に刻まれたように固定的で変わらないと信じている人 新しいことをしようとすると学部が反対する教員集団は既得権を守ることだけに熱心教員の意識、職員の意識は変わらない理事会や執行部の思う通りにさせるべきではない教育に関する事柄は教員にしかできない自分の研究を学内の教員や職員は理解できない上層部や上位者に提案してもどうせ拒否される最近の若手は意欲や能力の面で課題が多い教員は職員を下に見て、職員の意見を聞かない注)上表のドゥエックの整理と下表の2つのマインドセットは必ずしも対応するものではないならではの運営や配置・育成の難しさも抱えている。私立大学の場合は、国立や公立との違いもあるが、それ以上に規模や選抜性による違いの方が大きいように思われる。私立大学の規模についていえば、最大規模の大学から最小規模の大学までその差は極めて大きい。全学の収容定員が大規模校の一学部にも満たない大学も多い。企業の場合、中小企業については中小企業基本法で社員数と資本金をもって定義され、国が総合的な施策を策定し実施する責務を負うことが明記されている。大企業と中小企業では経営のあり方も課題も大きく異なる。規模の大小で理事長・学長の役割や責任が異なる訳ではないが、法人経営や大学運営に当たっては実情に合わせて最も相応しい方法を採る必要がある。大規模大学については、大企業が事業部制を敷き、事業部長に大幅に権限を委譲するのと同様に、学部長に運営面でより大きな裁量権を与えることも一つの方向である。その場合、学長が学部の活動を的確に把握し、評価を踏まえた資源配分を徹底するとともに、不都合な情報も速やかに共有される仕組みを整えておくことが前提となる。同時に、裁量権の拡大が学部の割拠をさらに進める結果になることを避けなければならない。日常的な裁量を委ねたかわりに、学長には大学全体の総合力の発揮に一層注力することが求められる。しなやかマインドセット = growth mindset人間の基本的資質は努力次第で伸ばすことができるという信念自分がどうしたいのかをまず明確にする学生を第一に教育に当たり発言する教員もいる教員の意識も職員の意識も変わると信じる理事会や執行部の考えを理解した上で対応すべき教育は職員との協働、研究は職員の支援が不可欠専門分野外の人々にも理解してもらうことが大事データを使い筋道立てて説明するよう心がけたい働きがいがあり働きやすい環境を整えたい教員の信頼を得て協働できる機会は十分にある大学を強くする「大学経営改革」68マインドセット変革の具体的なイメージ変えるべきマインドセット例望ましいマインドセット例大規模校では学部長の裁量権拡大も一つの方向

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