方針1方針2方針38熊本県が掲げる「くまもと半導体産業推進ビジョン」熊本県の強みである前工程や半導体製造装置の競争力をさらに高めるとともに、材料および設計の“川上”から後工程の“川下”まで切れ目なくつながる強靱なサプライチェーンの構築を目指す。さらに、革新的な最先端技術の研究開発を推進し、日本の半導体サプライチェーンの中長期的な国際競争力強化を熊本で目指す。半導体・デジタル領域の幅広い知識を持ち、様々な産業領域で活躍できるグローバル人材の育成・集積を図るとともに、地場中小企業を含めたDXの促進を図る。多様化するユーザー企業(出口産業)と連携・協業するとともに、半導体関連産業で培った技術や資源をもとに、バイオやライフサイエンス産業等の異分野と融合し、新たな産業を創出する等、産業創造の連鎖を生み出すイノベーション・エコシステムを構築する。する世界トップレベルの有識者の方々と懇話会を 2 回ほど開催して策定しました」(辻井氏)「くまもと半導体産業推進ビジョン」では人材に関するものも含め、3つの方針が掲げられている。①半導体サプライチェーンの強靭化 ②安定した半導体人材の確保・育成 ③半導体イノベーション・エコシステムの構築の3つだ(図3)。熊本県はこれらの方針の実現に向け、県内の国立大学法人である熊本大学とともに内閣府「地方大学・地域産業創生交付金」の採択を受け、ビジョンの実装・推進の起点としている。この地方大学・地域産業創生交付金事業は、「首長のリーダーシップの下、デジタル技術等を活用し、産業創生・若者雇用創出を中心とした地方創生と、地方創生に積極的な役割を果たすための組織的な大学改革に一体的に取り組む地方公共団体を重点的に支援する」というもの。10年間の事業計画が認定され、原則5年間にわたり年間7億円を上限に支援が行われる交付金事業だ。23年、熊本県と熊本大学が策定した「半導体産業の強化及びユーザー産業を含めた新たな産業エコシステムの形成」という計画が採択された。「ビジョンの実現に向け熊本大学には、実践的な半導体人材の育成や研究開発能力の向上、また企業との共同研究の強化からの新産業の創出と地域の雇用への貢献などにおいて、非常に期待をしています。実際に熊本大学は75年ぶりに半導体関連の新しい学部を設立するなど、異例のスピードで動いてもらっています。内閣府の交付金を活用し、大学とともに着実に事業を推進していきます」(辻井氏)図3 「くまもと半導体産業推進ビジョン」 3つの方針と取り組み半導体サプライチェーンの強靱化安定した半導体人材の確保・育成半導体イノベーション・エコシステムの構築への課題は特に大きい。「一般的に半導体産業の工場で必要な人材はオペレーター等の生産技術職が中心となりますが、一般職や生産現場のDXを推進する専門職、管理職等幅広い人材も必要になります。人材の獲得競争が激しくなっているなか、大学との連携はとても重要になっています」(熊本県産業支援課・辻井翔太氏)経済産業省が23年11月にまとめた「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」では半導体産業の人材育成戦略として、地域の特性に合わせた地域単位での産学官連携による人材育成(人材育成コンソ等)と次世代半導体の設計・製造を担うプロフェッショナル・グローバル人材の育成を挙げている。熊本県でも産官と大学が連携した人材育成が急務となっている。熊本県ではこうした半導体産業の動きを受け、23年3月に「くまもと半導体産業推進ビジョン」を策定した。「熊本県はTSMCの進出を契機として半導体企業の集積がさらに進み、関連企業の立地や雇用創出、交流人口拡大等様々な分野の経済効果が期待されているところです。TSMCの進出効果を半導体のみならず県内全体における経済成長につなげるため『くまもと半導体産業推進ビジョン』を策定しました。半導体はいわゆるグローバル産業ですので、熊本の中だけの議論でおさまるものではありません。世界の潮流を踏まえたビジョンにすべく、半導体に関
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