45リクルート カレッジマネジメント244 │Apr. - Jun. 2025特別企画13おわりに高等教育改革を支える支援方策の在り方国立大学は、社会を先導する人材を、地方をはじめ全国で育成するための教育機会の確保や、国として継続的に実施すべき多様な研究の実施という役割を果たすことが期待される。一方で少子化が進展するなかで、修士・博士への資源の重点化を図りつつ、国際化や地域のアクセス確保にも配慮しながら学部定員規模の適正化や連携、再編・統合の推進に向けた検討を行っていくことが求められる。公立大学は、地方公共団体の規模や実態、設置目的に応じた教育研究を行っていくことが期待される。一方、定員規模の見直しに向けた検討も周辺の高等教育機関の状況等地域の実態を踏まえつつ行うとともに、私立大学の公立化については、引き続き安易な設置は避ける必要がある。私立大学は、今後も引き続き、建学の精神やそれを踏まえた現代的なミッションに基づき、自主性と公共性のバランスを図りながら、多様性に富んだ教育研究を実施していくことが期待される。一方で、今後の更なる少子化を見据えた定員規模の見直しは不可避であり、意欲的な教育・経営改革や、規模の適正化を図る大学への支援を進めていくことが求められる。他方で、各高等教育機関が全体として機能別に分化していく方向に向かうなかでは、それぞれの機能に即した高等教育機関間の連携も、今後ますます重要となっていくものと考えられ、設置者別を超えて、その機能や特性に応じた支援を講じていくことも求められる。高等教育は、社会・生活基盤を支える人材、地域の成長・発展をけん引する人材、世界最先端の分野やグローバルな競争環境で活躍する人材等の厚みのある多様な人材育成、学術研究による知の創出やイノベーション等の役割を担う国力の源泉であり、高等教育への投資は未来への先行投資と考えるべきである。高等教育機関が社会的な信頼を得るためには、高等教育機関を卒業、修了した者が自身の成長をはじめとした教育の価値を会得して社会で活躍するとともに、産業界等との人材交流や共同研究等の連携の強化を通じて社会から理解を得ることが重要である。また、現在必ずしも視覚化されていない教育コストについて、現代的な高等教育機関を取り巻く環境や、より質の高い教育研究の実施も念頭に必要となるコストを明確にし、社会に広くその必要性を訴えかけていくべきである。高等教育は、個人にも社会にも便益を与えるものであるとともに、社会の新たな知の創出やイノベーションに関して極めて重要な役割を担うものであることから、大胆な投資を進め、我が国の成長のために更なる強化を図っていくべきである。その際、公財政支援、社会からの投資・支援、個人・保護者負担のどれか一つだけに依存するのではなく、持続可能な発展に資するような規模・仕組みを確保することが必要である。今後、答申後2~3年程度までに、公財政支援の充実としては、国立大学法人運営費交付金や私学助成金等の基盤的経費助成の十分な確保や、競争的資源配分の不断の見直しと充実、社会からの支援強化としては、企業による奨学金の代理返還制度の活用促進や寄附獲得の促進、個人・保護者負担の見直しとして、近年の物価や人件費の変化、教育活動に係る費用を考慮した個人・保護者負担の在り方について、個人支援や機関補助とのバランスも勘案しつつ検討することが必要である。また、答申後5~10年程度で、財務構造の改革を進めていくことが必要であり、授業料等の最低ライン設定や公的支援の仕組みの見直しに向けた検討等、教育コストの明確化と負担の仕組みの見直しを行うとともに、税制の在り方や寄附の充実等の検討等、高等教育への大胆な投資を進めるための新たな財源の確保を図ることが必要である。冒頭でも示した通り、18歳人口が急激に減少するのは2035年頃である。あと10年あるではなく、たった10年しかない。この期間に、国において必要な制度改正や支援措置を講じるとともに、各高等教育機関においては、本答申で示した質、規模、アクセスに関する必要性を認識し、議論を重ねたうえで、実行していかなければならない。その意味でも、本答申を手に取った全ての者が、今直ちに改革に取り組むことが求められる。文部科学省としては、本答申を踏まえ、制度改革や財政支援の取り組み等、今後10年程度の工程を示した政策パッケージを策定し、具体的方策の実行に速やかに着手する予定である。
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