多くの高等教育機関が生き残りをかけた戦略の見直しを迫られている。その中で、通信による教育の提供は、社会人やリカレント教育を求める層、教育機関への通学が困難な場所に住む層等、多様な学習者に門戸を開きアクセスの利便性を拡充する重要な機会となると見られている。18歳人口の減少という構造的な課題に対し、通信教育は柔軟な学習機会を提供し、多様な学生を受け入れるプラットフォームとして機能するだろう。通信教育の強みは、地理的・時間的制約を超えて学びの機会を提供できる点にある。オンライン授業やオンデマンド教材の進化により、質の高い教育を、全国どこからでも、またいつでも受けられるようになっている。さらに、コロナ禍を経て、高等教育のオンライン化は急速に進んだ。2020年のパンデミック当初は、対面授業の代替手段として手探りで行われたが、数年の間に通信教育のソフト・ハードともに磨かれ、学習者もその進化に対応してリテラシーを高め、14リクルート カレッジマネジメント244 │Apr. - Jun. 2025自由な学習スタイルを経験することとなった。一方で、課題も残る。通信課程の充実は、大学経営において新たな可能性を生むが、質の高い教育を維持するためには、通信教育という手法に適した教材や指導方法の検討やそこへの投資が不可欠である。幅広い年齢・背景を持つ学習者を対象とした教育は、従前の18歳・通学生にむけた教育を、単にオンラインという手段に乗せ換えるモデルでは、学修成果は期待できないだろう。 また、通信による学びは、続々と革新的な教育関連のプレイヤーの登場と活躍も促進してきた。大学という機関が提供する学びの価値とは何かが改めて問われる機会になっていると言えるかもしれない。今後、大学の存続戦略の一環としてますます重要性を増していくであろう通信教育。デジタル教育の発展を追い風に、大学は通信課程をどのように位置づけるべきなのかを、改めて考えてみたい。第1特集機会としての通信教育
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