Case Studies「学びたい者に学ばせたい」創設の理念が導く通信教育の軌跡目指すのは建築業界の社会人のリスキリング・リカレント近畿大学 建築学部(通信教育課程)通称「建築学部オンライン学士プログラム」リクルート カレッジマネジメント244 │Apr. - Jun. 2025近畿大学 副学長/建築学部建築学科 教授岩前 篤 氏近畿大学 大学運営本部通信教育部学生センター 事務長若林武敏 氏事例近畿大学は2025年4月、建築学部に通信教育課程を設置した。通称「建築学部オンライン学士プログラム」と名付けられたこの課程は、日本唯一の学士(建築学)取得が可能となる通信教育プログラムとして大きな注目を集めている。通信教育では70年近い歴史を持つ同大学が目指すものとは何か。最新の取り組みについて、近畿大学副学長・建築学部教授の岩前 篤氏、通信教育部学生センター事務長の若林武敏氏に伺った。近畿大学の「建築学部オンライン学士プログラム」は、社会人の学びなおしニーズに応えるものとして、建築学の専門教育と学位取得の機会を提供するものとして創設された。1年次入学で100名、3年次編入学で500名の定員で2025年1月から募集開始。日本で初めて建築学の学士がとれる通信教育ということで業界でも話題を呼び、募集開始から約2カ月で1年次入学155名、3年次編入学は専門学校・大卒以上477名の出願が集まった。その内訳を見ると、年齢層が10代から70代まで実に幅広いことがわかる。(図参照)建築学部教授の岩前氏は、かつて住宅メーカーの研究所で研究開発に携わっていた。その経験から、建築業界は大学で建築を専攻した理系の仕事といったイメージがあるが、実は半分くらいは文系の人達が働いていて、さらに大学卒の人は意外にも少数派。建築・建設業界で働く人達のリスキリング・リカレント教育への欲求は高いと説明する。「大学内で通信教育をもっと教育の場に活かしていけないかというトライアルがある中で、まずは建築分野のニーズが高いと判断しました。また、学士(建築学)が取得できれば、26一級建築士の国家資格の受験資格を取得できる。これが学びの大きな目標にもなりえると考えました」。まさに出願者数の多さに、社会人として働く人達の、リスキリング・リカレント教育としての建築学への学びの期待の高さが現れている。また、個人だけでなく、社員のリスキリングを目指す企業からの問い合わせもあるという。「例えば個人の住宅会社さんも自分の後継者のモチベーションの一つとして、あるいは会社との深い繋がりをつくる手段として、この通信教育が活用できると思います」(岩前氏)実は近畿大学の通信教育の歴史は長く、1957年(昭和32年)に短期大学部商経科、60年(昭和35年)には法学部法律学科で通信教育をスタート。以来70年近くにわたって累計約4万5000人の卒業生を輩出してきた実績をもつ。現在も両学部だけで計8040人が在学し、その学生は全国に広がっている。(2024年5月時点/科目等履修生も含む)「近畿大学の通信教育は、本学創設者である世耕弘一の『学びたい者に学ばせたい』という理念から始まりました。志はあるけれど、経済的な理由で進学ができない方々に学問の門戸を広げていきたいという志のもと、全国でもとりわけ早い時期から取り組み、通信教育の草分け的な存在として運営を行ってきました。」(若林氏)近畿大学の通信教育は、こうした理念を反映した特徴がある。建築学部に日本初の建築学学士がとれる通信教育課程を設置
元のページ ../index.html#26