特集1機会としての通信教育DATA開学2018年4月設置主体学校法人日本教育財団情報マネジメント学部(4000名)人間福祉学部(2000名)設置学部・定員在籍学生数5964名(2024年4月現在)PART333個別性・双方向性と経済的な学びやすさの両立のため最新技術を取り込む履修継続率は96.3%NTT東日本と連携し学生とのインタラクションに大規模言語モデル『tsuzumi』を初導入Case_2東京通信大学東京通信大学のオンラインキャンパス「@CAMPUS」NTT東日本との連携締結式(2024年9月)リクルート カレッジマネジメント244 │Apr. - Jun. 2025東京通信大学 学長村岡洋一 氏2018年に開学した東京通信大学。完全オンラインで、4年間の学費は83万4000円~(入学金含む)と学びやすい環境を実現した結果、10代から80代までという多様な学生が集まる。キャリアや生活のバックグラウンドも有する知識のレベルも多様。にもかかわらず、開学以来、高い履修継続率(初年度2学期目の履修継続率96.3%)を誇っている。その理由と今後の展望について、学長の村岡洋一氏に聞いた。「やる気のある学生が集まってくれた。そして、そういう学生が十分に力を発揮できるよう、『学生ファースト』の環境を用意することができた、そういうことだと考えています。例えば本学では授業は約15分単位。スマホの活用により、いつでもどこでも授業を受けられる。学生の中にはまとまった時間が作りにくい子育て中の働く女性もいる。隙間の時間をうまく活用できるんです」(村岡氏)。「もちろんそれだけでは不十分。ネットだけだと孤独な世界になる。通学制の大学なら教室や食堂で行われるコミュニケーションをオンラインでどう実現するか。そこで、『@CAMPUS』(アット・キャンパス)と名付けたオンラインキャンパスを設け、アカデミックアドバイザーをはじめとする教職員とのやりとりや、学生同士の交流を促進。さらに、新しくオンラインでのゼミをスタートしました」(村岡氏)。学生が自主的なイベントを開催することも増えた。学長の村岡氏自身も学内SNSをチェックし、直接足を運ぶことも多いという。開学以来チャレンジしている課題は大きく2点。前段で触れたような個別性への対応と、双方向性の実現だ。「本学が目指しているのは社会課題が解決できる人材、社会のシステムを構築していくことができる人材の育成です。そのためには、知識提供にとどまらない双方向性の高い授業が必須。開学以来先生方と協議を重ね、学生自身が使っているLMSの改善提案を行ったり、生成AIを活用してソフトウエアを開発したりなど、面白い授業がどんどん出てきています。今後も、東京通信大学だからこそ実現できる授業を追求していきたいと思っています」(村岡氏)。しかし、個々の学生のニーズにリアルタイムで応えるにも、双方向性のある授業を増やすにも、教員・職員のマンパワーが必須となる。経済的に学びやすい学費を維持し続けるためにはむやみに人員を増やすことはできないなか、「教職員は本当に頑張ってくれています。だから、いろいろやろう、というだけでは教員も職員も疲弊してしまう。そこで知恵を絞り、最新の技術を取り入れていきます」(村岡氏)。24年9月にはNTT東日本と新たな協定を締結し、NTT版大規模言語モデル(Large Language Models)『tsuzumi』を教育現場として初めて導入した。AIを使い、24時間いつでも学生との質の高いインタラクションを行えるよう共同研究を進める。「何をもって大学の質というか、それを決めるのは学生です。そして学生をハッピーにするには、教員、職員が大学にプライドを持ち、ハッピーでなければいけない。そのためにこれからも力を注いでいきたいと考えています」(村岡氏)。
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