カレッジマネジメント244号
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26リクルート カレッジマネジメント244 │Apr. - Jun. 2025「知の総和」向上を実現する3つの目的答申の概要ら、小学校が果たしている役割は極めて大きいと思っていました。大学がなくなると同じことが起こるわけで、日本全体の地域分散をどう考えるべきか、どこまで進めていいか悩みました。この点、アメリカはIT革命で分散化が進んでおり、テキサス州へ大手企業の本社移転が続く等、ニューヨークやロサンゼルスの本社が驚くほど減っています。日本はというと不思議なほど東京が大好きなので、この体質はなかなか変わらないでしょうが、豊かに暮らす地域はあって当たり前なので、人が減っても地域はなんとか残したいと思いました。それには、高等教育機関が地域のアウトカムにつながる人材育成や科学技術の発展に寄与し、ビジネスとアカデミアが協働・集積することで、住める環境を作っていけばいいのです。協働なしに地方創生はない、今回の答申はその点を最優先事項としています。――リクルートワークス研究所の試算によると、2040年には15歳から64歳の生産年齢人口が労働需要に対して1100万人不足するとされています。特にエッセンシャルワーカーと呼ばれる地域に必要な人材が不足する点についてはいかがですか。トラック運転手の不足等、現場で働く人が減少する問題を解決する方法は、テクノロジーしかないというのは明らかです。既に自動運転バスも稼働していますが、地域にもテクノロジーを使いこなせる、あるいは作り出して地域にフィッティングできる人材が必要になります。だから地域と高等教育機関が一緒に育つという意味で方法は同じなんだと思います。――今回の答申の概要についてご教示ください。本答申において、我が国の高等教育が目指す姿は「『知の総和(人数×能力)』の向上」です。それを実現するための高等教育政策の3つの目的として、①「質」の向上、②「規模」の適正化、③「アクセス」の確保を設定しています。人口が縮小するなかで、高等教育全体の「規模」の適正化を図りつつ、それによって失われるおそれのある「アクセス」の確保策を講じるとともに、「規模」の縮小をカバーするだけの知の総和向上のために、教育研究の「質」を高めるという考え方です。――質の向上が目指すところは何でしょうか。知の総和を向上させるために、学生一人ひとりのスペックを上げなければいけないので、教育の質を変えなければいけません。これにはコンテンツで変える部分とシステムで変える部分の両方があります。コンテンツでは、グランドデザイン答申の学修者本位の教育を一層推進し、主体的・自律的学修のための環境を構①「質」の向上人が減っても地域のアクセスを確保することが答申の最優先事項

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