カレッジマネジメント244号
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特別企画※1 教育基本法、新制国立大学の設置に関する十一原則 ※2 科学技術政策研究所・一橋大学イノベーション研究センター・ジョージア工科大学一 「科学における知識生産プロセス:日米の科学者に対する大規模調査からの主要な発見事実」(2011年)9リクルート カレッジマネジメント244 │Apr. - Jun. 2025――2035年までに準備を終えておく必要があるのですね。そうです。そこからは準備したものを実装化していくわけですから、今回はこのことを強く申し上げたいです。準備のないまま先に進むと、大学だけでなく地域社会や日本全体が衰退していくことになるので、危機感を強く持ってほしいと思います。――答申を受けて、大学経営層が今後考えなければいけない点はどのようなことでしょうか。もう今の1点に尽きます。本当の危機が到来してからでは間に合わないことがたくさんあるからです。入試やリクルート以外に、カリキュラム内容も変える必要があります。母数が減るので、これまで取らなかった層も獲得して育てようとすると、コンテンツが同じではついていけない学生が出てきます。こういうことを急にはできないから、徐々に準備していく必要があるのです。野球に例えれば、正規分布で能力を分布させて、一握りの優れた選手だけで構成されたプロ野球を今私達は見ているとします。しかし山が小さくなり、一握りの幅に下手な人も入れなければ人数が集まらなくなると、「そんなプロ野球見たくない」となります。今後、全ての分野でこれが起こるので、我々大学人には学問分野でこれを回避する大きな責任があるのです。――そうすると、各大学は自大学の定員規模をどう考えていったらいいでしょうか。基本的には今の定員を維持することは不可能です。各大学のお考えがあるでしょうが、先ほどの学生の幅を広げる案に対して、ハイレベルを志向し、大学院にシフトして学内の定員を振り替える案も考えられます。各大学に思いだしていただきたいのは、育てる人材という目標があって、そのためのアドミッションとカリキュラムなので、どこかが欠如する作り方をすれば失敗するということです。規模の問題は質とも繋げて考えていかなければいけません。経営のために何でもいいから人を集めてやることが、本当に我が国に資する大学なのかを考えてほしいと思います。――最後に、部会長として総括メッセージをお願いします。これからは奨学金で学生を獲得するより、どちらかといえば学費を上げて獲得する時代になります。自分達の教育の質の向上を不断にやっていただかないと、いずれ選ばれなくなります。序列やグループで物事を考えている場合ではないのです。学生も自分がなりたいものになれるかどうかで大学を選んでほしいと思います。私の授業では「皆さんの仕事は学者、会社員、社長の3つしかない」と言っていて、学生には全員がベンチャーを起こすくらいの気概を持ってほしいし、それを教えられる大学に変わってほしいからです。今回の答申はそういう意味で、エンタープライジングな気持ちを持って、この国をもう一度元気に戻すための国家的プロジェクトともいえるでしょう。(文/能地泰代 撮影/平山 諭)極端に18歳人口が減っていく2035年までに準備を終えること

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