カレッジマネジメント245号
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※1 令和5年度文部科学省委託「高等教育の教育費負担等に関する調査研究」※2 リクルート就職みらい研究所「就職白書2025」リクルート カレッジマネジメント245 │Jul. - Sep. 2025特集1 学費改革の現在地─ その負担と支援 ─するものの、各大学の理念やビジョン・ミッションに合致した学生の獲得に向け、戦略的に給付型の奨学金を支給するような、「高授業料/高奨学金政策(桜美林大学 小林雅之特任教授)」が拡大していると考えられる。これに加えて、自治体や企業からの支援が増加している。少子化の流れの中で、若者の人口流出は地域の大きな課題だ。各自治体が奨学金等を設けるケースが増えてきている。また、少子化の中で、企業の人材確保も重要な課題となっている。2025年の大学卒の採用計画を充足できた企業は、全体の37%に留まっている※2。2021年より企業が従業員の奨学金を代理で返還する国の制度が始まったこともあり、2024年度には代理返済の導入企業は3266社に増え、支援対象者も1万人を超えたという(JASSO)。支援の輪は一つではなくなってきており、拡がりを見せている。2024年2月にまとめられた答申、『我が国の「知の総和」向上の未来像 ~高等教育システムの再構築~』では、高等教育のアクセス確保の方策として、「経済的支援の充実」を掲げている。また、高等教育改革を支える支援方策のあり方として、「公財政支援、社会からの投資等、個人・保護者負担について持続可能な発展に資するような規模・仕組みを確保する」とも記されている。その一方で、高等教育機関の必要コストの算出、明確化も打ち出している。人口減少が進む中で、一人ひとりの資質能力を高めていくことは、重要課題である。その中で、公器ともいえる大学の学費を誰が負担するのか、これから大きな議論になっていくことが想定される。既に、大学院修士課程や専門職学位課程では、在学中は授業料を納付せず、卒業後の所得等に応じて納付できるという授業料後払い制度が始まっている。様々な支援制度が導入され、経済的に厳しい状況にある学生が、進学できる制度が充実するのは大歓迎である。その一方で、前述の文科省の意識調査※1では、修学支援新制度の認知率はわずか15.1%に留まっているとのことだ。せっかく支援制度が拡充されても活用されなければ意味がない。分かりやすい制度設計を構築するとともに、対象となる学生や家庭にどのように浸透させていくかが、今後の重要な課題と言えるだろう。29

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