カレッジマネジメント245号
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現行課程のコンセプトを継続・実質化するための次期改訂生徒の多様性に対応しつつ、誰でも資質・能力を育成できる指導要領へカレッジマネジメント編集部・リクルート進学総研研究員 鹿島 梓リクルート カレッジマネジメント245 │Jul. - Sep. 2025 編集部リポートれた中教審初等中等教育分科会「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会 高等学校教育の在り方WG(審議まとめ)」で、「共通性の確保」より先に「多様性への対応」が示されたことに注目した読者もいらっしゃるかもしれない。高校教育の実態が地域・学校により非常に多様な状況を踏まえ、いずれの高校においても多様な学習ニーズに対応できる柔軟で質の高い学びを実現すること、共通性として「自己を理解し、自己決定・自己調整ができる力」「自ら問いを立て、多様な他者と協働しつつ、その問いに対する自分なりの答えを導き出し、行動することのできる力」「自己の在り方・生き方を考え、当事者として社会に主体的に参画する力」等を育成することの重要性等が示され、特に少子化が加速する地域における小規模校の教育条件の改善、生徒の多様な学習ニーズに応える柔軟で質の高い学びの実現、生徒の学習意欲や満足度の低い状況を打破するために、社会に開かれた教育課程、探究・文理横断・実践的な学びを推進するといった方策が挙げられている。今回の諮問でもこうした「多様性」に対応し、どんな子どもにも深い学びを実現し、資質・能力育成につながる柔軟な教育課程の在り方という「共通性」も踏まえた議論が求められている。こうした方向性は反論の余地があまりない一方、現場の負担感が増す方向性でもあるようだ。時代の変化に誠実に向き合う一方で、現場の負担感や疲弊感が増大しないよ初等中等教育における教育内容や方向性を定義した学習指導要領は概ね10年に一度改訂される。2022年度に年次進行で高等学校に導入された新課程「探究」だが、その展開と同時並行的に次期改訂に向けた議論が既に始まっている。具体的には、2024年9月18日に「今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会」により次期学習指導要領の論点が提示され、文部科学省はそれに基づき12月25日中央教育審議会総会で「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」を諮問し、初等中等教育分科会教育課程部会に設置された教育課程企画特別部会で、次期改訂に向けた検討が始まった。本稿では次期改訂に向けた議論の内容を確認したい。諮問文によると、次期改訂は「資質・能力の育成」に舵を切った現行課程の基本的なコンセプトを引き継ぎつつも、現状の課題として、「多様性を包摂し、一人ひとりの意欲を高め、可能性を開花させる教育の実現」、「習得した知識を現実の事象と関連付けて理解すること、概念としての知識習得や深い意味理解をすること、自分の考えを持ち、根拠を持って明確に説明すること、自律的に学ぶ自信がある生徒が少ないこと」「ICTの効果的活用やデジタル人材育成強化」等を挙げたうえで、図1に示す4つの審議事項を検討する必要性が示されている。前回と同様のスケジュールであれば、高等学校は2027年度に改訂され、2032年度に年次進行で導入されると想定される(図2)。次世代に必要な教育内容を精査・検討することはもちろん本諮問の主眼だが、内容で注目すべきは「多様性への対応」及びその方策としての「柔軟な教育課程」、「現行課程の趣旨浸透が道半ばであることへの対応」「持続可能性」といった点であるように思われる。それぞれ見ていきたい。まず、「多様性への対応」である。2025年2月に公表さ50Report次期学習指導要領改訂に向けて

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