カレッジマネジメント246号
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入学者1.6倍に増加。数字が示す移転の成果と学生の変化背景にあった危機感と「社会とつながる学び」への転換岡山県広島県香川県愛媛県高知県学校法人 村崎学園理事長 村崎文彦 氏事例利便性を考えなければ生き残れないという危機感がありました」同時に、大学における「学び」のあり方そのものが変化してきたことも大きいと村崎理事長は語る。「かつての郊外型キャンパスは、風光明媚な環境で学問に没頭できるという利点がありました。しかし、大学での学びと社会との境目はなくなりつつあります。学生が企業や地域に出て実践的に学ぶ機会が重要になる中で、社会と隔離された環境では限界があると感じていました」この課題意識はありながら、「香川県からは出ない」という強い意志もあり、移転先は高松駅前に定められた。JR四国が所有していた駅前の土地という、またとない好機を捉え、2025年4月、「高松駅キャンパス」は開設された。移転の効果は、初年度の入試結果に早くも表れた。高松駅キャンパスの入学者数は、旧キャンパス時に比べ1.6倍に増加。JRで1時間強の距離にある徳島県や岡山県からの進学者も増加した。交通の結節点という立地が、広域からの学生獲得に直結した形だ。理事長が成果として強調するのは、数字だけではない。高松駅キャンパス徳島キャンパス徳島県人口減少時代を生き抜く、地方大学のキャンパス戦略人口減少が地方の大学を揺るがす中、キャンパスの戦略的移転、再配置によって未来を拓こうとする2つの大学にその狙いと今後の展望を取材した。1Case StudiesCASE四国最大規模の私立総合大学である徳島文理大学。幼稚園から大学院までを擁し、徳島と香川の2県にまたがって9学部28学科(短期大学部を含む)を展開している。医療系から人文、社会、理工、音楽まで幅広い学問領域を揃え、地域の学びの機会を創出してきた。1895年、香川県小豆島出身の学祖・村崎サイ氏が私立裁縫専修学校として徳島で創立して以来、2025年には創立130周年を迎えた。その大きな節目に、香川県のキャンパスをさぬき市志度から、県庁所在地である高松市の玄関口、JR高松駅前に移転し、新たな2キャンパス体制とする経営判断を下した。地方大学が存続をかけて戦略の見直しを迫られる中、徳島文理大学の「都市型キャンパス」への進化は、学生募集の成功に留まらない、新たな価値創造の可能性を示している。その背景と狙い、そして未来への展望を村崎文彦理事長に聞いた。キャンパス移転の検討が本格化したのは2017年頃。背景には、地方大学に共通する18歳人口の減少という厳しい現実があった。「香川県は、学祖である村崎サイが生まれた地です。その香川県の旧志度キャンパスがあった東讃地区は、特に若年人口の減少が著しい地域でした。進学説明会等で高校生の声を聞く父(先代理事長)は、『高松から遠い』という物理的・心理的な距離感を痛感していました。大学として、学生の14リクルート カレッジマネジメント246 │Oct. - Dec. 2025高松駅前への戦略的移転が拓く、「地域に閉じない大学」への挑戦徳島文理大学

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