リクルート進学総研所長リクルート『カレッジマネジメント』編集長 小林 浩編集長の視点大学のキャンパス移転や再配置が相次いでいる。高度成長期の1960年頃、都市部への人口・産業の過度な集中を防ぐために制定された工場等制限法により、都市部にキャンパスを新設できなくなった大学は、人口増加、大学進学率向上の対応として郊外にキャンパスを新設していった。若者が増えれば地域が活性化すると考える地域自治体からの支援も、これを後押しした。その後、地方の大学進学者増加率が対象地域を上回った等を理由に2002年に工場等制限法が撤廃され、それ以降主に東京、大阪、名古屋といった大都市圏においてキャンパス移転が多く実施されてきた。本誌カレッジマネジメントにおいても、2010年、2015年、2020年と5年ごとにキャンパス移転の特集を組んできた。そして2025年である。今回の特集では、都市部だけに留まらず、地方においてもキャンパスの移転・再配置が行18リクルート カレッジマネジメント246 │Oct. - Dec. 2025われるようになったことに注目した。上昇してきた大学進学率も約6割に達し、頭打ち感が出てきた。文部科学省が出した予測によると、2040年の大学全体の定員充足率は73%になる見通しだ。18歳人口はここ数年横ばいだが2030年以降再び人口減少フェーズに入り、2034年には100万人を切る時代に突入する。地方においては、都市部よりも人口減少スピードが速く、加えて文部科学省の調べによると2024年においては38道県で流出超過となっている状況だ。そうしたなか、大学にも生き残りをかけた経営戦略が重要になっている。現状、定員は充足している大学だとしても、将来を見据えて学生の「質」と「規模」をどのように維持・向上していくのかが大きな課題である。収入の8割を学納金が占める私立大学には、本格的なマーケティング戦Editor-in-chief’ Perspectiveキャンパス移転はPlace戦略、新キャンパスでの価値創造と改革継続が成功の鍵
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