まとめ進学行動は“少なく・早く・納得して”決める時代にここまで見てきたように、2025年の進学センサス調査では、高校生の進路選択における行動様式に明確な変化が表れている。かつての「幅広く検討して、後から決める」というスタイルから、「あらかじめ絞り込んで、納得して決める」というプロセスへと、選択行動の重心が移っていることが分かってきた。■ 数を絞り込む情報収集へ興味関心校数、出願校数はいずれも減少傾向にあり、特に興味関心校数は2019年から2025年にかけて約1校以上減っている。出願校数の減少も顕著で、出願校数平均は3.04校(2019年)から2.42校(2025年)へと縮小した。これは、受験生があらかじめ進学先を絞り込み、情報収集から出願までを効率的に進めていることを示している。■ 第1志望進学の実現と オープンキャンパスの変容出願数の減少にも拘らず、第1志望への進学率は大幅に上昇している。2025年には68.5%が「第1志望に進学した」と回答しており、2019年の53.5%から15ポイント増加した。進路選択の早期化と絞り込みの精度向上が、満足度の高い進学へと繋がっている。一方、オープンキャンパスの参加時期は最終学年の夏に集中する傾向があり、参加の目的も「情報収集のきっかけ」から「進学先決定の最終確認」へ26リクルート カレッジマネジメント246 │Oct. - Dec. 2025とシフトしているように見える。ただし、近年は大学側の開催時期が前倒しされる動きもあり、夏以降では遅いと感じる声も出ている。今回の生徒はコロナ禍による影響を受けた学年でもあり、高2時点で進路選択や情報収集を本格化させる必要性が高かった。今後は、オープンキャンパスだけでなく、2年生段階での早期アプローチや支援の重要性が増していくだろう。■ 出願行動の変化と志望決定の質2025年には「1校出願」と回答した割合が48.4%となり、過去最高を記録した。これは、受験生が出願前にある程度の検討を行い、自分なりの 納得感を持って進学先を決めている傾向を示していると考えられる。こうした動きに対しては、学校側の情報提供のあり方も影響を与えると考えられる。進学先の選定においては、「自分の興味や得意分野にあった進路を選んだ」が72.8%と圧倒的に多く、進学先との適合感が進路満足度の核心となっていることがうかがえる。加えて、「将来のキャリアや目標に繋がる進路を選んだ」「自分に合った入試・出願方法を選んだ」等の回答も一定数を占め、受験の過程そのものが納得度に寄与している。■ 選抜方式による価値観の違い入試方法別では、総合型・学校推薦型選抜の進学者のほうが多くの項目で肯定的回答の割合が高く、特に「自分に合った入試・出願方法を選んだ」では、総合型・学校推薦型選抜32.4%、一般選抜・共通テスト利用23.8%と顕著な差がある。一方、「知名度の高い学校を選んだ」は一般選抜・共通テスト利用で20.0%、総合型・学校推薦型選抜で13.9%となっており、一般選抜・共通テスト利用では学校のブランドを重視する傾向が強い。また、総合型・学校推薦型選抜のほうが「進学先の学校が自分に合っていると感じる」割合も高く、選抜プロセスにおける対話や自己理解の促進が、進路満足度に結びついていると推察される。■ 高校・大学への示唆以上の傾向は、単に受験行動の変化を示すだけでなく、高校や大学が進学支援や広報のあり方を再構築するうえでの重要な示唆を含んでいる。特に、早期に主体的な選択を促す情報提供の工夫や、進学先とのマッチングを高める機会の設計が求められる時代に入ったといえる。さらに注目すべきは、進学行動の「簡素化」と「納得度の向上」が同時に進んでいる点である。ここで言う簡素化とは、興味関心校数や出願校数、資料請求の減少に見られるように、検討対象を早い段階で絞り込み、無駄のない判断プロセスで進学先を決定する行動様式を指す。かつてのように複数校を併願し、比較しながら最終決定するスタイルから、情報の精度とアクセス性の向上によって、早期に進学先を見極めるスタイルへと移行している。
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