カレッジマネジメント246号
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発災後、いち早く地域へ。修了生ネットワークを活かし「求められるものは何か」教職協働で実情を把握実践探求研究の舞台となる珠洲市の用地実証拠点の説明を受ける受講生達プログラム名称能登里山里海SDGsマイスタープログラム(実践探求型コース/知識習得型コース)プログラム開始2007年~プラットフォーム構成団体実施主体金沢大学開講形態講義(ハイブリッド形式で実施)、現地実習、フィールド研究、卒業課題研究(実践探求型コース)開講場所金沢大学能登学舎(石川県珠洲市)開講期間2025年6月~2026年3月開講日隔週土曜日時間240時間(実習を含む)(2025年度)学費実践探求型コース 5万円、知識習得型コース 3万円(2025年度)受講人数42名(2025年度) 内訳:実践探求型コース 21名、知識習得型コース 21名募集対象能登の創造的復興や地域課題を掘り起こし解決する能力の構築に意欲を有する者修了者数262名(2007~2024年のべ)現採択事業文部科学省「リカレント教育エコシステム構築支援事業」(2025年)運営「創造的復興」人材育成プラットフォーム(産)珠洲商工会議所、輪島商工会議所、能登町商工会、穴水町商工会、NTT西日本、(官)石川県、珠洲市、輪島市、能登町、穴水町、(学)金沢大学、東京藝術大学、石川県立大学、国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティングユニット、(金)興能信用金庫リクルート カレッジマネジメント246│Oct. - Dec. 2025自治体をはじめ、企業や個人事業主、そして地域の人々に、きめ細かにヒアリングを重ねていきました」(枡氏)。これまでの修了生の方々はそれぞれの地域で復興のリーダー的な役割を果たしており、彼ら彼女らの声は、プログラムの狙いをより研ぎ澄まされたものにしていった。「同じ能登でも地域によって状況は違いますし、県外から来られている方の思考とも異なります。分かったのは、例えば単にインフラをどう整備するのか、そういう短視眼的なものが求められているわけではないということ。インフラ整備ならインフラ整備で、それは何のために必要なのか、俯瞰で見たり深掘りしたりして深く考えられるプログラム、つまり、学ぶことを通じて行動変容につながるようなプログラムが必要。そこで篠田先生や現地のスタッフと議論を重ねて用意したのが、今回の『実践探求研究』というわけです」(枡氏)。このプログラムには、修了生に対しても様々な支援が用意されている。修了生同士が交流できるネットワークや継続学習の機会のほか、起業を考える修了生には、プラットフォームの参画機関である興能信用金庫より「能登里山里海創業塾」という創業支援プログラムが提供される。修了して終わりではない、修了してからこそが学びの本番、そんなメッセージが感じられる。「今は復興のフェーズだけれど、復興を学ぶことを通じて、学ぶ豊かさそのものを実感できる…これからもそんなプログラムを提供していきたいと考えています」(篠田氏)。(取材・文/乾 喜一郎 リクルート進学総研特任研究員[社会人領域])骨頂です」(篠田氏)。「能登里山里海SDGsマイスタープログラム」は、2007年に開設された先駆的なリカレント教育プログラムである。世界農業遺産に指定された能登の里山里海に新たな価値を見いだし、地域の宝として次世代に引き継ぐリーダーを育成することを狙う。地域内はもちろん、首都圏や関西圏在住の能登出身者、Iターン希望者等安定的に受講者を集め、これまでのべ262名の修了生を輩出してきた。そんななか、2024年1月1日、能登半島を震災が襲った。亡くなられた方の中には、プログラムの理念に共感し、九州から能登へと移住されたばかりの修了生もおられたという。プログラムの継続も危ぶまれた。「しかし、これまでこの地域と深く関わってきた金沢大学だからできることがあるだろう、ここでやらねば!と経営層も強い意志を示してくれました。そこで、これまで大学の中枢で経営企画や財務に取り組んできた枡 儀充部長が加わってくれたんです」(篠田氏)。枡氏自身、珠洲の出身。実家は全壊し、自分が育った集落も被災して今も9割が更地のままだという。「大学にとって、学生や先生方だけではなく、社会人や地域の方、皆がステークホルダー。私はこれまでもそういう意識で大学改革に取り組んできました。そこで篠田先生と一緒に、すぐ地域に出ていったのです。今何が必要なのか、35

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