tnemeganaMytiiIリクルート カレッジマネジメント246│Oct. - Dec. 2025 srevgnitavonnnU中等教育段階の復習的内容を織り込んだり、ノートの取り方、レポートの書き方、情報リテラシー、時間管理など主体的に学ぶための方法や態度を指導したりすることも、大学での学習に円滑に移行するための有益な方法である。もう一つの取り組みが学習支援である。ライティングセンターや学習支援センターを設置し、専門スタッフやピア・チューターが学生のレポート作成や学習上の困難に対して個別相談を行うなどの体制整備も進みつつある。また、学生生活支援も学力の向上や学習習慣の定着に深く関わっている。学生が抱える様々な悩み、メンタルヘルスや経済的困難に関わる問題などにきめ細やかに対応することも、大学での学びを支える重要な要素である。これらの施策を推進するに当たっての主たる課題は次の通りである。第1は、人的資源の問題である。きめ細やかな対応が求められるに従って教職員の負担は増す。専任のスタッフを配置する場合も人件費をいかに捻出し、それにふさわしい能力を有する人材をどう確保して、恒常的に配置するかという課題を解決しなければならない。第2は、財政上の問題である。前述の人件費に加えて、センター設置などの施設面、情報システム基盤の構築、各種支援プログラムの運用などに相応の費用が必要となる。特に、中小規模の大学にとっては大きな財政負担となり得る。第3は、教育の水準及び質の確保に係る問題である。学問の発展と社会における課題の高度化・複雑化が進む中、教育はその内容と方法を不断に見直すことでその水準を維持・向上させていかなければならない。他方で、基礎学力や学習習慣を再形成する教育も求められるとしたら、全体として教育を再設計するかは極めて難しい課題となる。第4に、リメディアル教育や学習支援などの取り組みの成果をどう測るかという問題もある。これらの取り組み自体の実効性を高めていくためにも、また大学としてそれに費やす資源や時間のあるべき水準を検討する上でも重要な要素である。第5は、学生の意識に係る問題である。大学が多様なプログラムや体制を整備しても、そのことを知らない、知っていても利用しないというケースも多い。どう周知し、参加しやすい環境を整え、活用を促すか。そのこと自体が学生40の意欲や主体性を養う難しい教育でもある。いずれの課題も大学にとって極めて難しい判断と実行を要するものばかりである。考えてみれば、高校で文系と理系に分かれ、多くの私立大学の文系学部は数学、理系学部は国語の学力を問うことなく学生を入学させてきた。大学での学びに必要な学力の判定という点で入試が果たしてきた役割は限定的だったと言うこともできる。その意味において基礎学力と学習習慣の不足は、選抜性が高いとされる大学においても対処が求められる問題であり、近年その重要性は増しつつある。より深刻なのは選抜性が低く、入試において学生確保を優先せざるを得ない状況に置かれた大学である。建議の指摘もこれらの大学を念頭に置いたものと考えられる。受け入れた以上は、基礎学力の向上と学習習慣の定着に大学を挙げて取り組む必要がある。人的資源や財政面の制約などから難しい問題も多いと思われるが、規模が小さければ意思統一も図りやすく、きめ細やかな対応を強みとすることができるかもしれない。選抜性の高低に拘らず、今最も必要なことは、初等・中等・高等教育から社会的自立に至るまでの発達過程を視野に入れ、自校における教育を再設計することである。その上で、それを可能ならしめる人的基盤を整え、大学運営を再構築しなければならない。そのためにも経営・教学を率いるトップの見識、教員の意識変革、職員業務の高度化、そして学生参加は不可欠な要素である。とりわけ教育への熱意、学生個々の人格の尊重、双方向性を重視した柔軟な教育内容・方法の選択など、教員のマインドセットと行動が大きな鍵となる。本稿の終わりに、育成型入試の一つとされている「アサーティブプログラム」「アサーティブ入試」について触れておきたい。これらは、追手門学院大学が開発、2014年度から実施し、初等教育から社会的自立に至る発達過程を視野に自校の教育を再設計大学で学ぶ姿勢と意欲を養う育成型入試大学を強くする「大学経営改革」
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