カレッジマネジメント247号
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全国アントレプレナーシップ人材育成プログラムリクルート カレッジマネジメント247 │Jan. - Mar. 2026EntreComp は初等教育から高等教育までをカバーする見取り図で、包括的である一方、伸ばすべきコンピテンシーの観点が 15 と多かった。日本のアントレ教育は発展途上であるため、全てを提示すると実装が難しくなると議論し、 15 のコンピテンシーの中から、日本の授業設計にとって核となる 3 つの資質・能力を日本版 EntreComp v1 のコア・コンピテンシーと定義した。さらに、EntreComp では 15 のコンピテンシーに対して 60 のスキル(EntreComp ではスレッドと説明)が定められているが、数が多いため、日本版 EntreComp v1 では 3 つのコア・コンピテンシーに対して 10 個のコア・スキルと整理した。その際には行動を通じた経験を経ることで、態度の涵養や知識の習得につながるとの前提に立ち、まずは行動を促し、ひいては行動の成功確率を高めるスキルの伝達に注力する構成とした。3 つのコア・コンピテンシーと 10 のコア・スキルは次の通りである。・機会の発見「問いを立てる」「情報を探索する」「アイデアを作る」・資源の動員「今ある資源を認識する」「今ある資源を活用する」「足りない資源を獲得する」・不確実性、曖昧さ、リスクへの対処「不確実性、曖昧さ、リスクを見極める」「試してみる」「意思決定をする」「学びを得る」総じて日本版 EntreComp v1 は、「目標とするコンピテンシーの数を減らして使いやすくする」「行動に焦点を当てる」点を意識して作成しており、教育現場における実用性と持続性の向上を狙っている。高等教育機関における日本版 EntreComp v1 の具体的な活用法実際にアントレ教育のコースを設計する場面では、日本版 14EntreComp v1の10のコア・スキルを見取り図として用い、時間制約の中で「どのコア・スキルを主に伸ばすか」を選択する。なお、1つのコースだけで全てのコア・スキルを伸ばすのは難しいため、コースごとに強弱をつけるのが望ましい。次に、選んだコア・スキルに学習活動を紐づける。日本版 EntreComp v1 では各コア・スキルを伸ばす具体的な学習活動を提示し、活動にハッシュタグを付けて可視化する運用を提案している。例えば「情報を探索する」というコア・スキルには、取材やインタビュー、現場の観察等を学習活動として例示している。それぞれ、# インタビュー調査、# 観察調査といったタグで整理する。タグにより、学生は自らの学習行為をメタに把握しやすく、教職員も活動の設計や説明を行いやすくなる。加えて学習活動を設計する際には学生の具体的な行動へ分解して指示することを推奨している。例えばインタビュー調査を行うという学習活動だけでは、学生が具体的にどのような行動をするかが分かりづらい。そのため、インタビュー調査で行う活動を細分化し、「インタビュー相手をリストアップする」「インタビュー項目を考える」というように、より細かな行動の設計を行って、学生が迷わずに行動できるようにすることが肝要である。以下は日本版 EntreComp v1 を活用したクラス設計の例である。それぞれ涵養するコア・スキルには強弱がつけられている。活用例 1全国アントレプレナーシップ人材育成プログラムは 2 日間という短期集中型の構成となっている。ここでは「試してみる」「意思決定をする」「学びを得る」を重点に置き、実践→振り返り→改善→再実践に時間を配分する。「問いを立てる」「今ある資源を認識する」は時間の都合で簡略化することがある。「アイデアを作る」は既存アイデアの改良に絞るため、コア・スキルとしては重視せず、触れる程度に留まる。「足りない資源を獲得する」では、インタビュー相手の獲得等を学生が担う。

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