C A S E01学生の「マインドセットと行動」を変える教育プログラムC a s e S t u d i e s 事 例起業に限定しないアントレプレナーシップ教育(以下 、アントレ教育)を全学的に推進し、学生のマインドセットと実践力を磨く大学と高校の取り組みを取材した。イントレプレナーシップのマインド育てる岡山大学では、大学全体として研究成果を社会実装しようという大きな方向性のなかで、地元企業や自治体と連携して多彩なアントレ教育を推進している。他でもない学長の那須保友氏自身が、自らの遺伝子研究をがん治療に役立てようと創薬ベンチャーを立ち上げた経歴を持ち、那須氏の強い求心力が源泉となっている。今から 8 年前、地元起業家の呼びかけでアントレプレナーシップ講座を作ることになり、那須氏を座長に 2 年間かけて討議した。この時のコンセプトが今も生きているといい、起業が目的化してしまう若者が多いなか、自分が今いる組織の中で課題を見つけて解決できる、イントレプレナーシップのマインドを育てることが大事だと考えた。2019 年より全学対象の寄附講座「SiEED」プログラムを開講。史上最年少で経団連に入会した(株)ABABAの創業者、久保駿貴氏もこの講座の出身だ。その後、マインドセットを全学的に展開したいと考え、「スタートアップ・ベンチャー創出本部」を設置。トップダウンによる全学展開と、ワンストップサービスの相談窓口を作るのが狙いだ。メンバーは、本部長で准教授(特任)の志水武史氏、事務職員、研究シーズの社会実装を担当するコーディネーターの約 10 人で構成されている。「マインドセット」と「実践的スキル」の二本立て「SiEED」は寄附講座だったが、今度は正課の全学共通科目(選択)として「アントレプレナーシッププログラム」を20リクルート カレッジマネジメント247 │Jan. - Mar. 2026DATA ●岡山大学学生数:約1万 3525 人(学部1万 246 人、大学院 3279 人)学部:10学部1プログラム(文、教育、法、経済、理、医、歯、薬、工、農、グローバル・ディスカバリー・プログラム)大学学長那須保友 氏スタートした(図表1)。①マインドセットを目的とする「アントレプレナーシップⅠ / Ⅱ」と、②実践的スキルを習得する「アントレプレナーのための経営戦略概論(基本編)(応用編)」の二本立てで、①は 150 人、②は 50 ~ 100 人が受講する。②の講義を受け持つ志水氏は、「与えられた課題を解くのではなく、自ら課題を発掘して解決策を考えることで、主体的に動けるようにマインドセットを行う。さらに課題解決や価値創出の際、具体的にどう動けば良いかの実践的スキルも修得する」と説明する。プログラムはグループワークをメインに、異なる学部の学生同士が課題解決策を議論しながら進む。「そんな考え方があるのか」と分野横断の学びの場にもなっていて、毎回提出するレポートは、回を追うごとに理解が深まっているという。那須氏は「この主体的に動けるマインドセットが一番大事」と強調する。自分事として考え、やりたいことを見つけ、人に正確に伝えて実現するという成功体験をつけようと大学全体で動いているので、学生はとても元気だという。社会実装に近いプログラムを正課外で実施岡山県にはスタートアップを支援する様々なプラットフォームが存在し、正課授業で興味を持った学生は、キャン岡山大学イントレプレナーシップを重視し学生・教職員が「主体的に動けるマインドセット」
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