カレッジマネジメント247号
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tnemeganaMytiiI srevgnitavonnnUリクルート カレッジマネジメント 247 │ Jan. - Mar. 2026学校法人東京家政学院理事長・筑波大学名誉教授近年、大学には「学長のリーダーシップ」が強く求められている。その考えや要請に沿うように多くの大学が学長主導による改革に取り組んでいる。それを政策面で促したのが、2014 年 2 月に中央教育審議会大学分科会が示した「大学のガバナンス改革の推進について ( 審議まとめ )」である。そのなかで、「法律上、学長には教育研究に関する最終的決定権と、所属する教職員に対する指揮監督権が与えられている。しかしながら、長年の慣行を踏襲した内部規則等によって各学部に権限が配分され、学長がリーダーシップを発揮しにくい構造となっている場合が少なくない」との認識が示されている。そのうえで、「学長のリーダーシップの確立」を掲げ、具体的な課題として、総括副学長等の設置、高度専門職の安定的な採用・育成、事務職員の高度化による教職協働の実現、IR の充実などの「学長補佐体制の強化」及び「人事・予算・組織再編等に関する学長のリーダーシップ」を挙げている。これを受けて、2015 年 4 月に学校教育法の改正が施行された。最も大きな改正点は「教授会の役割の明確化」である。これにより、従来「重要な事項を審議する」とされていた教授会は「学長が決定を行うに当たり意見を述べるものとする」とされ、学長との関係における位置づけが明確に示される形となった。50国が実施する様々な補助事業の審査においても、「学長のリーダーシップ発揮による改革の推進」は最も重視される評価基準の一つになっている。これらの動きが大学運営の実際にどのような変化をもたらしているのだろうか。客観的な方法による点検・評価が求められるが、様々な場で学長や副学長の生の声を聴いてきた者として、現在の状況を次のように認識している。国立大学は一部の大学を除き、学長が経営と教学の両方に責任を負う体制となっており、国立大学法人評価などを通して学長のリーダーシップがより強く求められている。加えて、財政面で厳しさを増していることもあり、人事や予算など学内資源配分で学長裁量の拡大が進んでいる。一方、私立大学や公立大学は大学の規模や歴史などによる違いも大きく、一括りに述べられないが、総じて学部の側に学部自治を守ろうとする意識が根強く、学長も学部の意向を尊重しながら慎重に改革を進めようとする傾向が強いように思われる。このように設置形態や大学ごとの状況による違いはあるものの、学長をはじめとする大学執行部からは「学部が反対する」「学部が動かない」との声を聞くことが多い。その逆に、「トップダウンで物事が決まる」「改革を押し付けられている」との学部サイドの戸惑いや反発の声も聞こえてくる。これらの状況を踏まえると、学校教育法改正から10 年が経過した今日においても「学長主導による改革」は道半ばであり、「大学のガバナンス改革は、大学の目的である教育、研究及び社会貢献の機能を最大化するものでなければならな学長主導による改革の現在地を確認する大学を強くする 「大学経営改革」 108吉武博通 氏学部長のリーダーシップと学部運営の変革~学長主導改革が置き忘れた課題を考える~

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