キャリアガイダンス保護者版
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これからの時代を生き抜く力とは?自走する若手ビジネスパーソンに聞く時代が大きな変節点を迎えている今、社会や企業で求められる人材像も大きく変わりつつあります。組織に忠実なだけの人材では今の難局は乗り越えられない、そんな声を聞くことも多くなりました。一方、自分の頭で考え、自分で行動できる、いわば“自走”する若者が社会や企業でインパクトのある活躍を見せ始めています。彼らの能動的な生き方、働き方こそ次世代のスタンダードになるのかもしれません。そうした6人の若手ビジネスパーソンに、仕事に対する考え方や高校・大学時代の経験を聞きながら、これからの時代に必要な力、その身につけ方を探っていきます。取材・文/伊藤敬太郎 撮影/エノモトユウスケ、住吉健介、宮本 剛、大野 博豊田義博氏労働市場、個人のキャリア、企業の人材マネジメントなどに関する調査・研究を行うシンクタンク。若者の就職・キャリアやこれからの時代の働き方も主要な調査・研究テーマとしており、さまざまな調査報告書などを発表。 積極的、主体的││。企業が求める人材像は言葉のうえでは昔から大きく変わってはいません。しかし、今、その意味は確実に変化しているとリクルートワークス研究所主幹研究員の豊田義博氏は指摘します。「90年代前半までの日本企業にはある程度の勝ちパターンがありました。会社にはノウハウの蓄積があり、若手はそれを教わればよかった。しかし、90年代後半以降、経営環境が混沌としてくると、企業には局面に応じて新しいことに取り組む必要が生まれてきました。教える側にも正解がわからなくなっているのです」 ビジネスのヒントは会社の中にではなく、常に変化する市場にある。そうなると、社会のニーズをとらえ、新しいアイデアを生み出すことができるのは現場で働く人たちです。「また、現場の仕事の専門化・細分化が進み、漠然と働いているだけでは何のためにその仕事をしているのかが見えにくいのも最近の傾向。自ら行動するには、意識して主体的に会社の業務の全体像を把握することが必要となっています」(豊田氏) 若者に期待される役割が大きくなる一方で、本質的な仕事の意義も進むべき道も誰も教えてくれない時代。そこで求められるのは、誰かの価値観や論理で動くのではなく、自分の頭で考え、行動し、結果を出す力。これこそが〝自走〞の意味するところなのです。企業だけではなく、社会という枠組みでも同じことが求められています。 では、この力はどうすれば身につけられるのでしょうか? 豊田氏は、まず「社会のありようを知ること、そのために多様な人たちと触れ合うこと」、そして、「自らリーダーシップをとってPDSサイクル(計画・実行・振り返り)を経験すること」を挙げます。次ページからはまさにそのような経験を通して〝自走〞する力を身につけた6人の事例をご紹介します。そこには、難しい時代をたくましく生きるためのヒントが詰まっているはずです。リクルートワークス研究所主幹研究員自分の頭で考え、自分で行動し、結果を出せる人材が企業や社会を動かしていく23

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