高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2015
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来春のことです。 要項は通例5月中に見直され、文科省から各大学などに通知されることになっています。ですから改革初年度となる16年度の要項でどこまで変わるかは現段階では分かりません。しかし今年の新入生が大学を受験する18年度入試の要項までには、答申の趣旨が相当反映されていることは間違いないでしょう。 それでは、答申は何と言っているのでしょうか。主なポイントを見てみましょう。● 主体性・多様性・協働性、思考力・判断力・表現力、知識・技能の「学力の三要素」から成る「確かな学力」を踏まえ、多面的な選抜方法をとる● 入学者に求める能力は何か、そわが子が受験するころには一般・推薦・AOの区分が廃止? 中教審の答申をめぐっては1月、文部科学省(文科省)が「高大接続改革実行プラン」を策定し、その中で2020年度までの詳細な「工程表」も示されました。今後このスケジュールに従って、入試改革だけでなく高校教育改革、大学教育改革が着実に進んでいくことになります。今後は専門家会議が新テストの在り方を探っていきます。 注目すべきは、「各大学の個別選抜改革」です。国公私立を通じて大学入試の指針となる国の「大学入学者選抜実施要項」について、16年度分から中教審答申を「順次反映」させるとしています。16年度入試といえば、今の高校3年生が受験するれをどのような基準・方法によって評価するのかを、アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)で明確に示す● 高校の学習成果を、調査書などから確実に把握したり、活動報告書の提出や面接を実施したりする● 一般入試、推薦入試、AO入試の区分を廃止する このうち受験生にとって最も目を引くのが、入試区分の廃止かもしれません。私立入試では推薦・AOによる入学生が全体の約半数を占めるまでになっています。それが大学全入時代を迎え、実質的な「学力不問入試」になっているのではないか、という批判があります。 少なくとも責任を持って大学に受け入れる以上、一定の学力を把握すべきであり、そのために入試区分を廃止したり、19年度からは高校版全国学力テストとも言うべき「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を創設して高校段階の学力をしっかり測定したりすることを、答申では求めています。センター試験に代えて新設「学力評価テスト」とは? 難易度や競争率の高い大学も例外ではありません。先に挙げた「学力の三要素」は、高校はもとより、大学でも育成すべきものだと答申では位置付けています。とりわけ最近、トップクラスの大学でさえ「学生がものを考えようとしなくなった。すぐに正解を聞きに来る」と嘆く教来春から「大学入試改革」が始まる!?│今の高校生にも無縁ではない「高大接続」とは現行の大学入試センター試験に代えて、1点刻みを排した「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)を導入すべきだとの提案が、昨年末、文部科学相の諮問機関である中央教育審議会(中教審)から答申されました。新年度の中学校1年生からが対象になるといいますが、来春の受験生にとっても「大学入試」改革の話は決して無縁ではありません。東京大学の「推薦入試」や京都大学の「特色入試」にとどまらず、個別大学の入試改革が来春から徐々に始まる見通しであるからです。保護者世代の受験経験は、もう通用しない時代に入りつつあります。文/渡辺敦司34

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