高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2015
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北海道で学ぶ4年間が社会人として活躍する力を育む東京農業大学/オホーツクキャンパス Tokyo University Of Agriculture3キャンパス6学部22学科を有し、あらゆる農学分野をカバーする東京農業大学。そのうち生物産業学部があるのがオホーツクキャンパスだ。徹底した実学教育と大自然に囲まれた環境こそ、高い就職内定率の鍵となっている。取材・文/堀水潤一46キャンパス環境とキャリア支援が相乗効果を生む緑の大地、満天の星空、多様な生物。北海道と聞いてイメージする風景が、ここにある。「この場所で4年間を過ごしたら、大きな人間に成長するだろうな」と予感させられる広く、美しいキャンパスだ。実は、同キャンパスで学ぶ学生の9割近くは関東を中心とした道外の出身だ。ほとんどの学生が、ある種の覚悟のもと見知らぬ土地にやってきて、一人暮らしを始めたことになる。不安は等しく同じ。頼るべきは友人や先輩。だからこそ自室での夕食に招きあうなど濃密な人間関係が築かれていく。全員が所属し、キャンパスライフの中心となる研究室の教員も、事務職員もわが子のように学生に接している。地域の人も温かい。ホタテの養殖や農産物の収穫など、都市部では経験できないアルバイトを通じて、地域に育てられてゆく。文理を超え、食、農、生物に関してさまざまな研究を行う4学科で構成される生物産業学部。無人島における海洋哺乳類の調査、寒冷地農場での農業実践、食品の開発製造、地域活性化に向けた調査といった実習、フィールドワークの数々も、生物資源に恵まれたこの土地ならでは。教育理念である「実学主義」を体現する環境で、社会に直結した生きた学問に4年間向き合うのだ。就職活動時には、学生生活や研究で鍛えられた能力、人間性が人事担当者から評価されるという。専門性はもとより、コミュニケーション力やマナー、行動力、柔軟性といった1年次のマウスの解剖実習のときに先輩方から様々な話を聞いたことで卵子の発生過程に興味をもち、それがきっかけで翌年「動物バイテク研究室」に仮入室。以降、卵子の老化について研究を進めました。自分の出した実験データが国際学会で発表されたときは誇りに感じたもの。結果、胚培養士という不妊治療にかかわる職業につながりました。患者さんの気持ちに寄り添う仕事は、精神的に辛いこともきっとある。そんなときこそ、ここでの経験が生きるはず。実験に追われたラボワークやアルバイトで培った忍耐力、地域の方との関わりを通じて身につけたコミュニケーション力、一人暮らしで磨いた自立心や支え合いの心など。オホーツクキャンパスはいい人材を輩出している、と思われる仕事をしたいです。研究がきっかけとなり選んだ胚培養士という仕事生物生産学科/東京都立園芸高校/就職先・リプロダクションクリニック大阪富田 賢 さん親に負担をかけまいと、奨学金などを活用したため仕送りはゼロ。学費や生活費も自力で賄いました。さまざまなアルバイトをしましたが、それは必要に迫られてというより、ここならではの経験がしたかったから。農家やホタテ漁の仕事では、穫れたての野菜や新鮮な海産物をいただきました。3年生になってからは、研究のためさらに多忙な毎日に。学校と能取湖にある臨海センターを往復してはホッカイエビの繁殖実験を繰り返しました。忙しい日々でしたが、もう一度やりたいくらい楽しかったです。精神的に成長し、高校時代の友人からはパワーアップしたねと言われました。実家は札幌の中心部ですが、ここに来て改めて北海道の魅力を知った気がします。だからこそ、北海道職員として道民の役に立ちたいと思っています。アルバイトや研究を通じて改めて知った北海道の魅力アクアバイオ学科/私立札幌第一高校/就職先・北海道職員三井あや さん

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