高校3年生の保護者のためのキャリアガイダンス
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文転、国立諦め、地元離れ、大学諦め、浪人…ありがち 進路の迷い、どう受け止める? 理系コースの生徒の文転はよくあります。大学や学部によって、数学で受験できるところもけっこうあるので、受験科目という観点からは、それほど心配はないようです。ただし、なぜ文系に変更したいと言い出したのかによって、注意が必要だと先生方は指摘します。「数学Ⅲになると、いきなりレベルが上がってなかなか点数が上げられなくなり、『自分は理系じゃないのでは』と思い始める生徒が、けっこういます。ところが、単に点数が伸びないから…という逃げの姿勢だとうまくいかないことが多いですね。文系は暗記物が多いので、何とかなるだろうと安易に考えるのですが、それだけでは同じように伸び悩み、もっと入試が楽なほうへ…と、安易に流され、結局何がしたかったの?となりやすいんです」(柳澤先生) そこで柳澤先生は、急な進路変更を言い出した生徒には、必ずメリット・デメリットを書き出すようにアドバイスするという。「理系・文系、それぞれに進んだときのメリット・デメリットを、将来的なことも含めて箇条書きでいいので書かせてみます。目先のことばかりではなく、将来やりたい仕事や目標など未来から逆算することも大事です。そうすると、理系のメリットばかりがたくさん出てきて、自分はやっぱり理系に行かないとダメだなと気づくこともけっこうあります。気づけば、『やるしかない』と覚悟が決まり、勉強の態度も変わってきます」(柳澤先生) 及川先生も、「諦め癖がつくほうが、問題」と指摘します。「成績が伸びずに文系へ…と思っているのであれば、できるようになる方法をまず考えることが大事ですよね。好きこそものの上手なれ、と言いますが、まずはその世界が好きか嫌いか。そこをしっかり考えてほしいと思います。単に合格が目的ではなく、入学後のこと、さらにその先の社会人1年目くらいになったころのこと、そんなキャリア的発想も欠かせません」(及川先生) 編集部が高校の先生方に行ったアンケートでも、ほとんどの先生が「逃げではないか」を確認すると言います。一時的に成績の伸び悩みに悩んでいるのか。それとも本当にやりたいことが見つかったのか。そのあたりを、ていねいに聞いてみることが大切なようです。なぜ変更したいと言い出したのかその背景が重要になります子どもたちが突然言い出す進路変更。保護者としては、いろいろ心配になることと思います。そこで、3年生になって急に言い出しがちな目標変更のケースに、現役高校教師はどう対応されているのかうかがいました。慌てないために、ぜひ参考にしてみてください。取材・文/清水由佳 写真/広路和夫神奈川県立希望ヶ丘高校柳澤隆規先生聖ドミニコ学院高等学校及川俊浩先生長年、神奈川県立百合丘高校に勤務し、2014年より現在の高校に。担当教科は数学。仙台の私立女子高である同校キャリアデザインコースでキャリアデザインを担当。担当教科は歴史。3年生になって、志望学部を理系から文系に変更「私自身、3年生の夏休み明けに獣医学部から文学部国文学科に志望変更しました。夏休みに読んだ源氏物語の心理描写に魅了され、大学で源氏物語を研究すると決めました。先生には『何考えてるんだ』と叱られましたが、受験は私大で英・国・数で受けました。大学時代は本当に楽しくて、今も源氏物語が大好きです。文転する生徒には、そんな話もしています」 (大阪府立山本高校・清水直樹先生)「受験科目が、英語・国語・社会or数学のようであれば、対応はできると思います。ただ、逃げの姿勢での文転は勧めません。あとあと後悔することが多いように感じます」 (公文国際学園高等部・伊東光弘先生)※アンケート協力/2015年1月に、「ありがち進路の迷い」に関して実施した『キャリアガイダンス編集部』編集協力委員の先生(回答者40名)の回答より抜粋。こう対応する回答者こんな意見もありました!20

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