高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2016
28/59

式を検討する⑦英語は「書く」「話す」も含めた4技能をバランス良く評価する――としています。 答申を受けて下村博文文科相(当時)は15年1月、「高大接続改革実行プラン」を策定しました。大臣や首相、あるいは政権が変わったとしても、工程表どおりに改革を貫くためだと説明。翌2月に答申具体化のための「高大接続システム改革会議」を設置し、その座長に中教審会長だった安西祐一郎を据えたのも、そうした意気込みの表れでした。 その後同会議が9月にまとめた「中間まとめ」からは「合教科・科目型」「総合型」という文言は消え、教科を基本に出題する方針が示されました。代わりに、次期高校学習指導要領(22年度入学生から全面実施の見通し)で創設される、数学と理科にまたがる「数理探究」(仮称)知識の再生から思考力重視へセンター試験を新しいテストに変更 これまでの大学入試は、1点刻みの「知識の再生」にこだわりすぎていた。もっと思考力などを重視しなければいけない――。中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)は2014年12月の「高大接続改革答申」で、そう提言しました。 センター試験を学力評価テストに替えるのも、そのためです。具体的には、①思考力・判断力・表現力を中心に評価する②「教科型」に加えて「合教科・科目型」「総合型」の問題を出題する③多肢選択式(マークシート方式)だけでなく、記述式を導入する④年複数回実施する⑤1点刻みではなく、段階別表示にする⑥CBT(コンピュータ利用型テスト)方を出題対象とすることにしました。 解答形式についても、マークシートながら組み合せによって複数の正解があるような「連動型複数選択問題」のほか、記述式では現行指導要領下(23年度まで)で「短文記述式」、次期指導要領下(24年度から)で「より文字数の多い記述式」を導入するとしていました。しかし中間まとめの後、同会議では、記述式の導入を当面、国語と数学に絞るとともに、「条件付記述式」で最大300字程度に限定する方針が示されました。さらに複数回の実施も当面は見送り、記述式はマークシート方式とは別日程で行うことにしました。 一方で、知識偏重と批判していたセンター試験に対しても「与えられた問題を分析的に思考・判断する能力の評価に優れている」などと、評価を微妙に変えています。 16年度センター試験は、国公私立の693大学157短大が参加。志願者は56万人を超え、実際にも約53万人が受験し、現役高校生の4割が受けています。作問に当たっては全教科書を読み込んで「かなり高校教育に配慮した良問が出題されている」と関係者の評判も上々です。大学・短大志願者という限定付きながら、高校生の学力保証に一定の役割を果たしてきたのも事実です。 このようなセンター試験の良さも認めながらも、思考力等を測ることを目指し、現実の技術やコストと向き合いながら進められているのが新テストの議論なのです。 工程表に従えば、システム会議の最終報告を受けて新テストの実施方針を固め、17年度からプレテストに入ることになります。中2以下の生徒は気が気でないことでしょう。保護者も知らないではすまされない!これから「大学」も「大学入試」もこう変わる!大学入試センター試験を廃止して創設する「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)のあり方が、新聞紙上などをにぎわせています。同テストは2020年度の高校3年生(今年度の中学校2年生)からが対象なので、現在の高校1年生には直接関係がありません。しかし、なぜ新テストが必要なのか、と考えると、1年生どころか、来春に受験を控えた3年生にまで関係してくる状況が浮かび上がってきます。大学教育と、それに伴う個別選抜の、大きな変化です。文/教育ジャーナリスト 渡辺敦司28for Parent 2016

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 28

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です