高校3年生の保護者のためのキャリアガイダンス
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ストだけでは測れない能力、大学・学部学科への適性、意欲、特技などから、多面的に評価するシステムです。 評定平均値など成績の基準を設けないケースが多く、面接をはじめ、模擬授業参加など、時間をかけて丁寧な選考が行われることもあります。どの高校からも出願できますが、専願者や第一希望者を条件とすることが多い傾向にあります。 AO入試の名称や選考方法は非常にバリエーションが多く、各大学、学部学科によっても多種多様です。書類審査と面接や小論文で行うオーソドックスなものだけではなく、その他のパターンとして、書類審査に加えて、課題についてのプレゼンテーションをしたり、テーマに沿ってグループ討議を課したり、また、実際に大学の講義や実験に参加してレポートを提出する体験型のAO入試などもあり様々です。国公立大の場合は、推薦入試同様、センター試験を課す方式と課さない方式があります。準備に、時間やエネルギーがかかる場合もある 一般的に、AO入試では、志望理由書、自己推薦書、活動報告書、課題レポートなど提出物が多い傾向にあり、これらが面接時の資料にもなるので、念入りに準備することが必要です。準備には時間もエネルギーもかかることを考慮に入れておきましょう。 AO入試は、自分が何をその大学で学びたいかを真剣に考え、それを表現することが軸になる入試方式です。その大学の求める学生像(アドミッション・ポリシー)や大学の学びの特色などをしっかり確認し、自分に合っているかを考えておくことも大事です。 出願は、8月くらいから始まる傾向にありますが、私立大の場合は、夏休みのオープンキャンパスに事前面談や体験授業を行う大学や、年間を通じて複数回受ける機会を設けている大学もあります。スケジュールや入試スタイルは様々なので、早めに確認をしましょう。 現在、2020年度からスタートする新たなテストの導入をはじめとした、今後の大学入試の在り方について検討が進められています。その影響で入試傾向が変わるのではないかと心配する向きもありますが、今の高校3年生の受験には大きな影響はありませんので、基本的には昨年度と同様であると思っていただいて大丈夫です。推薦・AO入試に関しても、個別には大学・学部で変更はあるかもしれませんが、全体的には大きな変化はないでしょう。 推薦・AO入試を受ける上で、私が一番大切だと思うのは、お子さん自身が将来に対するしっかりとした考え方を持っているかということです。なぜなら、「志望理由」や「学習意欲」などを深く問われるからです。高3のなるべく早い時期に、お子さんの考えや意思を確認しましょう。 例えば、国公立大や難関私立大のAO入試は、倍率も高い上に、試験で問われる内容も広く深いものになりますので、志望理由書など提出物の準備も含め、相当のエネルギーを必要とします。時間的にも、一般入試のための学習時間を割くことになるので、かなりの覚悟が必要です。「将来の目標」や「その大学への志望理由」が明確でないと、リスクが大きいと言えるでしょう。 また、一般入試、推薦・AO入試に限らず、大学入試で大切なのは、お子さんの「主体性」です。大学受験を経験している保護者の方が多いからこその現象だと思いますが、保護者が前面に出過ぎて、子どものやる気を損なったり、意思疎通がうまくいかなくなるケースは頻繁にあります。 お子さんと受験の話をするときは、「聞く」立場に徹することが肝心です。自分の考えが尊重されているとわかれば、お子さんも心を開きやすくなるでしょう。学校法人 河合塾進学教育事業本部副本部長服部周憲氏推薦・AO入試は、特に、志望理由、学習意欲が問われます16for Parent 2016

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