高校3年生の保護者のためのキャリアガイダンス
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大学全入時代と言われるようになってきて、大卒の就職も様々です。大学を出たというだけでは将来を保証されるものではないということは十分理解しているつもりでも、やはりそこは心配になるのが親心。ちなみに、文部科学省と厚生労働省が調査した2014年3月卒の大学、短大、専門学校の就職状況調査(4月1日時点)では、就職率は大学94・4%、短大94・2%、専門学校93・0%と、いずれも大差はありませんでした。「これも、先ほどの文転のケースと同様、本人がどういう考えで専門学校と言い出しているのかどうか次第です」(及川先生) 中には、成績が伸び悩んで一般入試から逃げ出したいという思いで安易に専門学校と言っていることも少なくありません。そういう場合は、理系から文系のケースと同じように、もともとの問題である「どうやったら成績を伸ばせるか」を考えることが先決だとか。 けれども、中には、この時期だからこそ、本来の思いを勇気をもって口にしていることがあるといいます。「保護者の希望に沿って何となく大学を志望していたけれど、どうにもモチベーションがあがらない。本当は、好きな動物や美容の専門学校にずっと行きたかった。そう訴えてくる生徒もいます。そんなときは、とりあえず口論になろうが何だろうが、まずは自分の思いや学校を調べた結果を、しっかり保護者と話し合うようにと勧めています」(及川先生)と言います。 同様に、柳澤先生も、「大学の建築学部を受けると言っていた生徒が、3年生になって放送系の専門学校に行きたいと言ってきたことがあります。そのときも、それぞれの選択のメリット・デメリットを書かせてみたら、放送系のメリットが圧倒的に多く、本気が伝わってきました。そこで、具体的にオープンキャンパスに行き、就職のことも調べてみるよう勧めました。結果、学校見学でやっぱり建築は違う、放送系がおもしろそうだと専門学校に変更。今は、夢をかなえてテレビ番組の制作会社で充実しているようです」と言います。 保護者にとっては寝耳に水のような話でも、子どもたちの中では何年も溜め込み、「ここで変更しないと後悔する」という切実な思いも込められている可能性があるというのです。まずは、思いをしっかり受け止め、一緒に学校見学などに行ってみてもいいのではないでしょうか。逃げばかりではなく昔からの思いが込められていることも大学進学をやめ、専門学校に進路変更「専門学校は将来の自分の仕事に直結する学校なので、教育内容をしっかり確認し、卒業後の就職や資格の取得状況について調べておくことが必要。一概に大学のほうがいいとは言えない場合もあります。将来の希望の仕事に就くためには専門学校のほうが有利な場合もあります」 (兵庫県立阪神昆陽高校・井上仁志先生)「大学か専門学校かの選択で悩む例は少なくありません。最終的には、オープンキャンパスなどで両者を実際に見て決めるのがよいとアドバイスしています。最近は、専門学校の評価が高まり、あえて大学ではなく、4年制の専門学校を選ぶケースもあります。“アカデミック指向”なのか、“実学指向”なのか、しっかり考えるよう指導しています」 (千葉県立茂原樟陽高校・宮澤勝先生)こう対応するこんな意見もありました!●平成25年度就職状況調査 ●高等学校卒業後の進路状況(平成26年4月1日現在 文部科学省・厚生労働省調査)(平成26年度文部科学省「学校基本調査」より)就職希望率就職率前年度同時期の就職率大学71.5%94.4%93.9% 内国公立53.1%96.7%95.3% 内私立80.6%93.7%93.4%短期大学79.0%94.2%94.7%専修学校88.8%93.0%94.1%6050403020100%18年3月20年3月22年3月24年3月26年3月平成大学・短大進学率49.441.818.252.946.015.354.347.915.953.647.716.853.948.117.0うち大学(学部)進学率専門学校進学率21for Parent 2016
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