高校3年生の保護者のためのキャリアガイダンス
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急に国公立大学から私立大学に志望変更を言い出したときも、受験からの逃げなのか、やりたいことが明確になったのか次第だと、先生たちは指摘します。「専門学校への変更などと同じように、受験シーズンが近づくにつれて自信がなくなり、国公立に合格できないのなら、いっそのこと私立だけに絞ってしまって受験科目を減らしたいと考える生徒も少なからずいます。そのため、これを言 そもそも、昨今は浪人する生徒自体が減少傾向。文部科学省の学校基本調査でも、大学・短大への現役進学率が、平成26年度は53・9%。平成元年頃は約30%前い出した時期にもよりますが、受験時期が近いのであれば、私立も受けることを前提に、国公立受験もあきらめないよう励まします。ただし、受験まで時間があって、本当に私立に行きたくなっているのであれば、私立に絞って受験科目を減らす選択も考えていきます」(柳澤先生) 同様に、及川先生も「本人が進路について考えたうえで、私立のその大学のこの学部でこそ学びた後だったので、現役率が急上昇しているのがわかります。それでも、やはり、受験勉強がうまくいかないと「浪人」を口にし始める生徒がいるのも事実です。いとか、この先生のもとで学びたいなど、理由が明確であれば応援します。しかし、単に学力的な悩みなどの場合は、国公立と私立の併願も勧めながら、面談などを密にしてモチベーションが下がらないようにサポートしたいと思います」と言います。 そんな受験勉強からの「逃げ」の選択は、例えば推薦を安易に受けてしまうといったことでも見られるとか。「結果的に不本意入学になって、入学後の意欲が下がる生徒は少なくありません。本当は自分はも「もし志望校に合格しなかったら浪人すると決めている生徒は、多くの確率で浪人します」と、柳澤先生は警鐘を鳴らします。「なので、結果が出るまではあくまでも浪人のことは話しませんし、本人も考えるべきではないと思います」(柳澤先生)っとできたのに、ほかの大学に入っていれば…と、そんなことを思いながらの学生生活はつまりません。行けるところではなく、行きたいところを選ばせてあげたいと思います」(柳澤先生) ちなみに、昔であれば「国公立=学費が安い、私立=学費が高い」という傾向が明確で、保護者にとっては急に私立を受けると言われると、金銭的に心配になりがちでした。しかし、最近は、国公立と私立の学費はかなり近づいていて、学校・学部による違いのほうが大きいようです。 一方、ご自身も浪人を経験されている及川先生は、「自分の進路を考えた場合、どうしてもその大学へ行きたいというのであれば、浪人も視野に入れさせます」と言います。とはいえ、実際は、生徒のほうが浪人より受かる大学へ志望変更しがちだとか。やりたいことが明確になったのか受験からの逃げなのか次第浪人も考え始めるとかなりの確率で浪人します国公立大学を諦め、私立大学に志望変更合格が不安になってきて、浪人も含めた2年計画を考え始める「正直なところ、国公立と私立の学費格差は昔ほどではないうえに、国公立+ひとり暮らしより、私学+自宅通学のほうが、金銭的には楽な場合もあります。生徒の希望や将来を考えず、何が何でも国公立という考え方に少し疑問を感じることもあります」 (立命館宇治高校・酒井淳平先生)「理由次第。たくさんの科目を勉強する負担が嫌だからという理由では失敗することが多い。その私立大学の内容を調べ、目標がはっきりしているならOK。また、保護者もそれでいいなら可能だと思います」 (岡山県立鳥城高校・杉山義則先生)こう対応するこう対応するこんな意見もありました!●初年度納入金の比較※国公立は、文部科学省令による標準額なので、学校によって差がある。※公立大学は文部科学省「平成26年度学生納付金調査」、私立大学は文部科学省「平成25年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額調査」より。※いずれも、このほかに、施設費や実習費、諸会費などがかかる場合がある。授業料入学金 合計国立大学 535,800282,000817,800公立大学(地域内)537,857231,133768,990公立大学(地域外)537,857397,721935,578私立大学(学部)860,072264,3901,124,46224for Parent 2016
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