高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2017
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卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)学生が身に付けるべき資質・能力の明確化入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)入学者に求める学力の明確化、具体的な入学者選抜方法の明示教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)体系的で組織的な教育活動の展開のための教育課程編成、教育内容・方法、学修成果の評価方法の明確化むものと思われます。 昨年12月に中教審が答申した学習指導要領の改訂では、「主体的・対話的で深い学び」を実現するため、アクティブ・ラーニング(以下AL)の視点による授業改善を求めています。14年11月の諮問段階から検討事項にALが入ったことで、小・中・高校の先生方の間には空前の「ALブーム」が起こっています。 単に先生の講義を黙って聞いて、板書をノートに写すだけの受動的な授業の受け方では済みません。自分の頭で考えて疑問をもち、調べたりグループで話し合ったりして発表し、文章にまとめる。そんなふうにお子さん自身が参加する授業が待っていると言えそうです。 そんな能動的な授業や、学校の教育活動全体を通して、①知識・技能②思考力・判断力・表現力③学びに向かう力・人間性――の「資質・能力の三つの柱」を育てていこう、というのが、次期指導要領の眼目です。 高校で次期学習指導要領が実施されるのは22年度入学生からですから、お子さんには関係ないと思われるかもしれません。 しかし、先の「三つの柱」は現行の「学力の3要素」(①知識・技能②思考力・判断力・表現力③主体的に学習する態度)をバージョンアップさせたものであり、それを基に「高大接続」(高校と大学では③を「主体性・多様性・協働性」に置き換え)を行おうとしています。 確かに国の大学入試改革は、20年度をターゲットに置いています。実際に適用されるのは、21年度入試からです。しかし各大学が必死で生き残りを懸けてすでに改革に取り組んでおり、前述した今年度からの「三つの方針」公表、とりわけ入学者受け入れ方針の明確化に伴って、各大学の入試方法も早急に見直されています。 それもあって高校でもALに対する関心が高まっている、ということもできます。新テストも、大学教育改革も、その目指すところは、今の高校生にも決して無縁ではないのです。むしろ高校時代に受け身の勉強ばかり好み、入試対策も丸暗記に頼っていては、大学入試にも大学進学後にも困るのはその子自身だと言えるかもしれません。保護者世代の「成功体験」はもう通用しない このように高校や大学の教育も、両者をつなぐ大学入試も、これから大きく変わっていくことが予想されますし、変化は既に始まりつつあります。そこでは、18歳人口の急増期に入ったばかりの1990年前後に大学生活を過ごした保護者世代の「成功体験」は通用しません。当時の有名大学が、子どもの大学卒業時に社会から高い評価を得ているとは限りませんし、何より「どこの大学を出たか」ではなく「その大学でどんな力を身に付け、何ができたか」が問われる時代になります。 むしろ子どもに伝えるべきは、社会の現実かもしれません。長引く不況で生産性の向上が求められ、グローバル化の波は全国に波及し、しかも人工知能(AI)やあらゆるモノがインターネットでつながるIoTなど急速な技術革新はビジネスチャンスを広げる一方、雇用自体を危うくします。小学生が社会に出る頃には今ある職業の約半分が入れ替わっているという予測も、国内外で出されています。 そんな社会の変化を肌で感じているのが、保護者の方々ではないでしょうか。だからこそ次期指導要領では「社会に開かれた教育課程」を打ち出し、保護者や地域住民、企業・団体など関係者の協力を求めています。子どもが高校に入学した今、社会変化を伝えていくのは保護者の役割と言えるのではないでしょうか。図表2 大学の「三つの方針」全ての大学等において、三つの方針を一貫性あるものとして策定し、公表するものとする。学校教育法施行規則の改正(平成29年4月1日施行)大学の3つのポリシーとは?29for Parent 2017

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