高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2017
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for Parent 2017135年を貫く「日本を学ぶ」教育伝統と革新が息づく、改革に邁進國學院大學 Kokugakuin University日本の私立大学として最も長い歴史を誇る伝統校再開発が進む渋谷駅東口。街のの喧騒を抜けた先に、閑静な文教地区に佇む國學院大學の若木タワーが姿を現す。この18階建校舎を中心とするキャンパスを歩くと、同学が積み重ねてきた重厚な歴史の一端にふれることだろう。大学博物館はそのひとつ。考古遺跡の出土品や祭礼を彩ってきた装束、近世の屏風画など、国の重要文化財を含む貴重な学術資料が数多く並ぶ。さらに『古事記(梵舜本)』や『源氏物語(久我家本)』をはじめとする貴重本等150万冊以上の蔵書を誇る大学図書館は、国内屈指の人文社会系図書館として広く知られている。日本の私立大学のなかで最も古い歴史をもつ國學院大學の創立は1882(明治15)年。「国学」の教育・研究・理念の発展を目的とする「皇典講究所」を母体に誕生した。教壇に立った面々には民俗学者の柳田國男、言語学者の金田一京助と、独自ジャンルを切り拓いてきた研究者たちが名を連ねる。こうした人文・社会科学系を中心とする高度な専門性は現在も研究の第一線で活躍する教員陣に脈々と受け継がれている。内外からの期待も大きく、文部科学省「平成28年度 私立大学研究ブランディング事業」への採択はその一例だ。日本文化・歴史をわきまえた 「大人」を養成する改革へ135年にわたる伝統や学術成果を大切に守りながらも、國學院大學では意欲的な教育改革が進む。それが『21世紀研究教育計画』である。この改革は2012年に始まった第3次計画を経て、第4次計画が今年いよいよスタートとなる。「主体性のある『大人』の育成」を掲げる第4次計画の狙いについて、同学の赤井益久学長は次のように説く。「國學院大學は、創立より『日本を学ぶ=国学』の教育を一貫して実践してきました。そのような私たちが掲げる『大人』とは、日本の文化や歴史を深く理解し、確かな分別と自立性をもった人間のこと。今、グローバル人材の育成が盛んに叫ばれていますが、これには土台となる日本人としてのローカルな部分が欠かせません。そこでグローバル化はもちろん、今後より多様化する社会の変化にも対応できる『大人』を育てるたグローバルな時代だからこそ、より注目が集まるのが日本の文化・伝統の研究である。創立以来135年にわたり「日本を学ぶ」教育を実践してきた國學院大學。現在、同学で進む教育改革について、赤井益久学長に伺った。取材・文/酒井 摂32(左上)一般にも無料公開する國學院大學博物館。「考古」「神道」「校史」の3つの常設展と、企画展とが通年で楽しめる。(右上)平安時代の月見の集いを再現した秋の『観月祭』は國學院大學の恒例行事のひとつ。神道文化学部の学生を中心に、雅楽や舞を披露。地域住民や近隣の駐日大使館員らも訪れ、毎年多くの人々で賑わう。(左下)文・神道文化・法・経済の4学部のメインキャンパスである渋谷キャンパス。アクセスもよく、渋谷・表参道・恵比寿の各駅から徒歩13~15分という立地だ。2015年春には『國學院科目』を中心に開講するための和室教室を新設した。

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