高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2017
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for Parent 2017北海道で学ぶ4年間が社会人として活躍する力を育む東京農業大学/オホーツクキャンパス Tokyo University Of Agriculture3キャンパス7学部25学科を有し、あらゆる農学分野をカバーする東京農業大学。そのうち生物産業学部があるのが北海道オホーツクキャンパス。徹底した実学教育と大自然に囲まれた環境こそ、高い就職内定率の鍵である。取材・文/堀水潤一38キャンパス環境とキャリア支援が相乗効果を生む緑の大地、満天の星空、多様な生物。北海道と聞いてイメージする風景が、ここにある。「この場所で4年間を過ごしたら、大きな人間に成長するだろうな」と予感させられる、広く美しいキャンパスだ。実は、同キャンパスで学ぶ学生の9割近くは関東を中心とした道外の出身。ほとんどの学生が、ある種の覚悟のもと見知らぬ土地にやってきて、一人暮らしを始めたことになる。不安は等しく同じ。頼るべきは友人や先輩。だからこそ自室での夕食に招きあうなど濃密な人間関係が築かれていく。全員が所属し、キャンパスライフの中心となる研究室の教員も、事務職員もわが子のように学生に接している。地域の人も温かい。ホタテの養殖や農産物の収穫など、都市部では経験できないアルバイトを通じて、地域に育てられていく。文理を超え、食、農、生物に関してさまざまな研究を行う4学科で構成される生物産業学部。無人島における海洋哺乳類の調査、寒冷地農場での農業実践、食品の開発製造、地域活性化に向けた調査といった実習、フィールドワークの数々も、生物資源に恵まれたこの土地ならでは。教育理念である「実学主義」を体現する環境で、社会に直結した生きた学問に4年間向き合うのだ。就職活動時には、学生生活や研究で鍛えられた能力、人間性が人事担当者から評価されるという。専門性はもとより、コミュニケーション力やマナー、行動力、柔軟性といった研究室では無眼球症ラットの遺伝子解析に取り組み、アルバイトでは塾講師のほか農家アルバイトもしました。しかし何といっても学生生活の中心は応援団。同じアパートに住む先輩からの勧誘を断り切れなかったのも事実ですが、それまで活発な性格とはいえなかった自分を変えたいという気持ちが入団を決意させました。全学応援団オホーツク支部長として、硬式野球部や競技スキー部の応援ほか、自ら積極的に売り込み、年10数回におよぶ地域のイベントにも参加。住民の方々と信頼関係を築くことができました。夢は札幌から3時間半ほどの今金町で農家を営む祖父の跡を継ぐこと。一度、社会に出て大いにもまれ、広い視野をもったうえで北海道に戻り、農業を通じた地域活性に取り組もうと考えています。応援団活動を通して築いた地域との強い絆生物生産学科/北海道札幌旭丘高校就職先・株式会社大気社阿部 明弘 さん知床に代表される大自然に魅かれて福岡からやってきました。研究テーマはミヤベモクという海藻の室内培養。魚介類に詳しい人はいても海藻に詳しい人は少数です。沿岸域の生態系に欠かせない存在なのに、あまり知られていない点に興味がわいたのです。実際、いくつかの新発見をすることもできました。研究と並行し大変でしたが公務員試験に合格し、北海道庁に水産職員として採用されました。女手一つで一人息子を育ててくれた母の住む地元に戻るか迷いましたが、せっかく4年間過ごしたのに「楽しかった」で終えるのは何か違う。ここに来た意味を見出したかったのです。北海道は有数の水産基地。水産を学んだ者にとって贅沢な仕事場。母はいつか北海道に呼びよせよう。そんな風に考えています。ここに来た意味を見出すため北海道で就職アクアバイオ学科/福岡県立筑紫丘高校就職先・北海道庁(水産)下村 翔太 さん

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