高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2018
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保護者の時代の学校の授業といえば知識や技能の習得・暗記が中心。大学入試が変わって「学力の3要素」を問われるようになるのであれば、高校でそれらが身に付く授業に取り組んでくれるのか、気になるところです。 前ページの「学力の3要素」について皆さんはどう感じたでしょうか? 「知識・技能はわかるとして、表現力や協働性って、学力なの? 授業で身に付けるもの?部活とかじゃないの?」などと思った方もいるのではないでしょうか。 もちろん、授業外の課外活動で身に付けられる力もたくさんあります。しかし、文部科学省が提言しているのは、授業の中でもこうした力をつけていこうということ。 今までは、知識を暗記したり、公式を覚えて数式を解いたりする授業がほとんどでした。これからは、覚えた知識を活用して、そして社会でどう役に立てるかを考えるところまで踏み込んだ授業が求められることになります。言い換えれば、今まで「なぜこれを覚えなければいけないのか」と思いがち知識を習得するだけでなく活用する授業が増えてくる大学や入試の変化に対応するために高校は何をしているのでしょう?クロスカリキュラムを導入している市立千葉高校(千葉)。化学の発明について世界史の観点を取り込むことで、生徒の思考が深く、広くなっていく。富士市立高校(静岡)では、地域の人々を巻き込んで課題に取り組む探究授業「究タイム」を実施。地域の人に生徒がヒアリングをしている様子。富士市立高校では探究学習のベースとして、ディベートの技術を1年次に習得。ここで身に付けたコミュニケーション力が他教科にも生きるという。会に出て新しい価値を創造するということは、世の中にある課題や人々の悩みで未解決な問いを発見し、その解決方法を見出してサービスをつくったり、社会貢献できるようになることです。このような力を身に付けるために、各教科で得た知識を世の中の事象と結びつけて思考したり、判断できるようにする授業が始まっています。 例えば、総合的な学習の時間を利用した探究学習を行っている学校では、生徒が自分の興味・関心から自分で課題を発見し、教科で習った知識を集結させて解決方法を考え、それを論文やプレゼンシートにまとめて発表したりしています。地域創生の観点から、フィールドワークや地域の人々との対話を通じて課題を理解し、どのような解決策があるかを考えたり、地域の良さを再発見したりする取り組みも多々あります。 また、世の中はそもそも教科ごとに分かれた世界ではなく、教科での学習が融合して成り立っていることを実感できるよう、異なる教科の先生が一緒につくる教科横断型の授業(クロスカリキュラム)を実施している学校もあります。 学んだ成果を表現するための手法を授業として行っている学校も増えています。例えば、人前に立って説得力をもって発表できるようなプレゼンテーションや、自分の意見を他者に伝えるディベートを授業で行う取り組みがあります。 こうした授業の習熟度は試験で点数化することが難しいため、「ルーブリック」と呼ばれる到達度の評価基準を設定したものに従って、評価していくケースもあります。総合的な学習の時間で、探究活動やプレゼン、ディベートにも挑戦10for Parent 2018

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