高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2018
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だったことの、理由がわかる授業になってくるはずです。知識の習得は学びの目的ではなく、手段になるということです。 さらに自分の考えを表現する手法を身に付けたり、そのために、仲間と一緒に協働する授業も必要となってきます。先生一人が教壇に立って話をする一方向的な授業だけでなく、あるときは生徒が前に立ったり、グループ学習をしたり、学校の外に出る授業なども増えています。 文部科学省が高校に求めているのが「主体的・対話的で深い学び」と呼ばれる学びです。このような授業を通じて、これからの社会で生きて働いていくための資質や能力を育んでいくのです。今、高校の先生たちも授業研究や工夫を重ね、新しい授業に取り組む実践が増えています。その一例をご紹介します。生徒が主体的・協働的に学ぶ学習方法のこと。文部科学省が高大接続改革の審議でアクティブラーニングについて触れたことで、ここ数年、学校現場でも急速に取り組みが広がってきています。ペアワーク、グループワークをするだけでなく、生徒個人でも思考を深める時間をもつなど、授業の形式は教科や担当の先生によってそれぞれですが、先生が一方的に講義をする授業だけでないことが共通しています。総合的な学習の時間などで、生徒が自ら課題を発見し、それを解決するために情報を収集して分析、自分なりの解決策を見つけ出していく学習の方法。課題や解決策を見つける段階で体験学習を取り入れるなど、実施方法は学校によってさまざまです。討論のことですが、学校教育の場では、論理的な思考や多様な考え方、表現方法など学ぶ目的で実施。あるテーマについて肯定側・否定側などの立場に分かれて、客観的な証拠や理由を踏まえて意見を交わし合います。相手を論破することが目的ではありません。学んだことを振り返ること。例えば授業の終わりに生徒がリフレクションシートを記入する学校や先生が増えています。生徒自身がその授業で理解できたこと、気づいたこと、わからなかったことなどを意識して言語化することで、学びを深めたり、それを先生が知ることで授業改善にもつながります。学習の到達度を、学ぶ内容ごとに評価する観点を細分化し、観点ごとに「ここまでできればA」など、学習の成果を段階別に示したもの。一般的な筆記試験のように点数で評価をすることが難しい、探究型の授業などの評価で用いられることがあります。金融関連の用語とは異なり、教育でのポートフォリオとは、成績表だけでなく、作文や作品、提出物など、生徒一人ひとりの学びにかかわる活動のすべてを記録・保管し、成長や達成を見える化していこうとするものです。それをもとにした評価方法も検討されています。群馬県立桐生高校では、探究学習に取り組む前段階として、自ら課題を発見できる「主体的学習者」とは何かを考えるAL型授業を行っている。県内の複数校の交流の場を設けているのが石川県の「いしかわ探究スキル育成プロジェクト」。初対面の生徒とともにAL型授業を受けている。体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度の育成として、急速に広がり始めているのがアクティブラーニング型授業(以下AL型授業)です。教科や単元、先生や学校によって取り入れ方や授業の方法はさまざまです。 例えば、数学や物理でグループワークを取り入れて、生徒同士が解き方を考えて学び合うなどしています。国語や英語では、社会問題や、登場人物を通して生徒が生き方を考えたり、仲間と議論できるようなテーマの教材を取り入れるなど、文法や読解法を学ぶだけでなく、思考力を深める授業もあります。 また、総合的な学習の時間でもAL型授業は多く見られます。正解がひとつではない課題に取り組む際に、仲間と意見を出し合いながら、自分たちなりの答えを導き出していきます。この過程で、身近な仲間が自分とは異なる考えをもつという多様性の発見にもつながります。今の多くの学校は、授業後にリフレクション(振り返り)を行っていますが、AL型の授業を受けた生徒たちには、「友達の意見を聞けて、自分では気づけない複眼的な視点をもてた」という感想も多く見受けられます。 高校の現場は、中学に比べて似たような学力や家庭環境の生徒が集まっているため、あえて生徒たちを多様な環境に置くための取り組みもあります。海外研修(修学旅行)や、海外の提携校との交換留学のほか、地域によっては近隣の学校との横断授業を行うなど、生徒たちがさまざまな経験を得られる工夫が進められています。先生が教壇に立たず、生徒が主役アクティブラーニング型授業11for Parent 2018
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