高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2018
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浪人となった場合、「大学入学共通テスト」を受験することになります。また、すでに入試の変容は始まっており、今年行われたセンター試験も、国語や数学では過去と傾向が変わり、暗記だけでは解けない思考力を試される設問がありました。入試は、どんな学生を採用したいかという大学のメッセージでもあるため、文部科学省の方針に応じ、2次試験の内容を変え始めています(7ページ参照)。新しい学力の要素は、リフレクション*シートの内容や、ルーブリック*を使って、さまざまな観点から到達度合いを評価しています(*11ページ参照)。AL型授業は、そもそも正解が決まっていない問いに対して、生徒たちが自由に自分の考えを表現し合うことが重要です。正解=得点のような評価とは異なるため、それを気にせず発言できる授業です。定期テストなどの結果だけでなく、高校生活でどんなことに取り組み、何ができるようになったのかなど、多面的・総合的に評価できるように調査書が改訂されますので、勉強以外のことも大事です。ただ、課外活動をいやいややっても意味はないので、本人がやりたいことを見つけられるようにヒントを与える程度にしましょう。7ページのように、2020年度からAO入試は「総合型選抜」に、推薦入試は「学校推薦型選抜」に名称変更になります。内容も、今までのように一芸入試的なAO入試や、書類と面接だけの選考ではなく、各大学が実施する学力評価方法等、または「大学入学共通テスト」のうち、少なくともいずれかが必須となります。現在でもセンター試験を課すAO入試は出てきており、その場合、秋のAO入試の段階では「仮合格」で、センター試験で所定の成績を収めて「本合格」となります。保護者世代の方が受けていた共通一次テストとは異なり、現在は私立専願の子どもでもほとんどがセンター試験を受けており、今年の受験者は約55万人でした。私立でも一般入試の他に、センター試験の得点で受験できる「センター利用入試」という出願形式があるからです。「大学入学共通テスト」がどうなるかは未定ですが、恐らくセンター試験と同様と予想されます。AL型授業は、アクティブラーナー(能動的学習者)を育てるという共通目的以外、形式はさまざまです。話すだけでなく書く授業もありますから、無口なお子さんでも大丈夫です。自ら学ぶようになれば、自ずと学力はつき、本校でも生徒の成長を実感しています。授業が全部AL型になるのではなく、従来通り先生が知識を教える授業も主流として残ります。もしお子さんの学校でやっていない場合、授業参観などでの保護者向けのアンケート等で希望を出すとよいでしょう。また、家庭でもテレビを見ながら家族で感想を語り合うのもALの一種なので、お子さんに問いかけてみてください。大学入試が変わる理由や内容について概要はご理解いただけたかと思います。それでも残る「うちの子への影響」の疑問。進路選択の際に慌てないよう、学校現場で教育改革を実践されている中島先生にお答えいただきました。何がどこまで我が子に影響するか具体的に把握しましょう茨城県立並木中等教育学校校長 中島博司先生アクティブラーニング(AL)に早くから取り組み、AL型授業の評価・改善のためにさまざまな独自のツールを開発。2015年に校長就任とともに、今後の高校教育改革について、「AL」「2つの新テスト」「次期学習指導要領」をテーマに研究をスタート。アクティブラーナー(能動的学習者)の育成に力を入れ、同校の取り組みはメディアでも注目されている。現在は、全国高等学校長協会の教育課程研究委員長・常務理事も務める。14for Parent 2018
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