高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2018
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日頃の何気ない行動が、こんな影響を!? あなたはどっち? 「『一般受験をがんばるなんてうちの子には無理なので、どこか推薦で入れるところに』とおっしゃったり『あなたには理系はとても無理』と反対されることがあります。確かに、やりたい気持ちだけでは通用しない厳しい現実もあるので、私たちも文理選択に向けて、どれだけ本人が覚悟しているか何度も面談を繰り返します。学力テストの結果などを基に、単に〝好き〞や〝興味ある〞だけでは通用しない現実に向き合わせることもあります。でも、一方でそれは、挑戦に向けての覚悟や意思の強さをもってほしいという願いでもあります。文理選択は、できないことを捨てるのではなく、将来に向けて何をとがらせていく必要があるかを考える行為と考えていますから」(釣島先生) 子どもたちの可能性を信じ、応援していく。文理選択では、そんな関わり方が重要なのかもしれません。「文学部」「法学部」「工学部」など、従来の文系・理系でわかりやすく判断できる学問領域がある一方で、「環境情報学部」「人間環境学部」など、文系か理系かわかりづらかったり、実際の勉強も文理にまたがるものも増えています。「経済学部」や「心理学部」などでも、統計や実験など理系的要素が必要になります。「本人が“建築をやりたい”と言っている場合なども、じゃあ理系だねと簡単に決めつけることはできません。どういうイメージをもっているのか丁寧に聞いていくと、実はデザイン的なことをイメージしている場合もあります。そうすると理系ではなく文系を選択したほうがいいことも。子どもたちの学部・学科調べは、そんな実際と自分のイメージを調整していくために不可欠です」(釣島先生)テレビや新聞の社会人インタビューなどを見ていて、「この人のこういう仕事って、こんなことに役立っているんだね」と一緒に考えてみたりする。⇒いろいろな仕事や社会へ目を向けるきっかけづくりに。ニュースを見ていて、それが社会にどういう影響を与えているかなど、議論してみたりする。⇒社会への興味の喚起。「自分の意見をもつ」ことへの第一歩。選んできた進路について「どういういきさつで選んだか」をじっくり聴き、共感してあげる。⇒本人の意思の尊重。次の行動への勇気づけ。「今どきの社会では理系のほうが就職に有利。いざとなったら文系受験だってできるんだから、とりあえず理系にしたら」と言ってしまう。⇒理系にいながら文系受験は、実はかなり大変。必修科目の数学や物理、化学など、本人の興味や適性と合わないと非常に苦労することに。就職も有利とは簡単に言いきれません。「数学が少しくらい得意なだけじゃ、理系では通用しない」など、どうせ無理だと強調してしまう。⇒本人の可能性を閉ざしていくことに。「歴史を勉強して、いったいどんな仕事につくの?どうやって食べていくつもり?」など、未来を否定してしまう。⇒「好き」「勉強していて楽しい」という気持ちの尊重も、一方で大事。25for Parent 2018

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