高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2018
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for Parent 2018「やってみる」学びから生まれた学生のアイデアが地域と人を動かす千葉商科大学 Chiba University of Commerce“アクティブラーニング”の重要性が広く提唱される以前から「社会で役立つ実学」を学問の中心に据えてきた千葉商科大学。中でも、人間社会学部が設立以来継続してきた“社会で学ぶ”試みが今、地域や企業を動かし始めている。取材・文/草苅敦子34学生の視点から見出した地域を輝かせる新たな光春には弘前城の桜、夏にはねぷたまつり。さらには、りんごの生産量日本一を誇るまちである「弘前」。しかしながら、オフシーズンの観光客数は伸び悩み、「ひろさき」ではなく「ひろまえ」などと読まれることも珍しい話ではない。年間を通した観光客の誘致や知名度の向上は、弘前市が長年抱える課題であった。そんな一地方都市の課題解決に挑んだのは、人間社会学部の朝比奈剛教授と学生たちだった。2014年から農業体験や農家民泊などを通して地域の人々と交流し、現地でフィールドワークを実施。一般的な観光資源だけではない、地域の魅力や隠れた課題を掘り起こしていった。そこで生まれたのが『愛〝ひろ〞がり〝さき〞ほこる 弘前ウエディング』というプランだ。りんごの花言葉である「選ばれた恋」で出会ったカップルが、400年を超える歴史と堅固な石垣をもつ弘前城で結婚式を挙げ、固く長く続く絆を結ぶ―。そんなコンセプトのもと、地域資源を活かしながら、弘前の幅広い産業へプラスの効果をもたらす新しいビジネスプランを提案した。この「弘前ウエディング」プランは、2015年「大学生観光まちづくりコンテスト」(観光庁、文部科学省等が後援)において、青森県知事賞を受賞している。地域の魅力を自分たちの目と足で見出し、それを活用し、ストーリーとして仕上げたプランのもつ強い説得力と可能性が評価された結果であった。学ぶ、試す、気づく、また学ぶ。成長を促す学びのサイクル「人間社会学部のアクティブラーニングは、事前学習とフィールドワーク、そして事後学習のサイクルの繰り返しで成立します。まずは社会やビジネスが抱える課題を教室で学び、その課題を乗り越えるための気づきを現場や実体験から得て、それを再び学問に紐づけ、課題解決をめざす。ただ外に出て体験し、楽しかった、だけで終わらせてはいけないのです」と、朝比奈教授は言う。理論と実践の繰り返しを学生の成長へとつなげる「やってみる、という学び方」は、千葉商科大学の学びのテーマでもある。実際に「弘前ウエディング」は、コンテストの実績だけに留まることなく、コンテスト受賞当時は、1・2年生3名だけのチームだった地域を活性化する人間社会学部のアクティブラーニング●さんむ田んぼアートプロジェクト地域活性化とグローバル化を目指した新しい観光コンテンツとして、千葉県山武市と連携したプロジェクトを実施。キャンバスに見立てた田んぼに色とりどりの稲で絵を描き、田植え・鑑賞・収穫を地域住民と一緒に行っている。田んぼアートは、成田空港を行き来する飛行機の中から来日観光客に楽しんでもらうことも意識して制作している。●真間あんどん祭り2015年より市川市で毎年開催されている「真間あんどん祭り」。近隣5校に通う小学生が製作した行灯を含む約200個の行灯が真間山弘法寺の参道に並び、光の道で夏の夜を演出する。学生たちは市川市役所や、真間地区商店街、近隣小学校のPTAなどの有志とともに祭りの企画・運営を行い、住民に地域の魅力を再発見してもらおうと奔走している。千葉商科大学人間社会学部 学部長朝比奈 剛 教授「全国の大学と競うコンテストで結果を残せたことは、日頃の学びの成果。今度はその実現を目指します」人間社会学部 3年堀田 知里 さん「弘前市の地域資源をウエディングに活用することで活性化に貢献し、地元の期待に応えていきたいです」

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