高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2018
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「大学入学共通テスト」が導入されるのは2020年度からですが、実は「思考力・判断力・表現力」などを問われる入学者選抜は既に各大学の入試の現場で始まっています。その一例が左で紹介している取り組みです。 京都大学や早稲田大学では、書類審査の段階で、大学で学びたい意欲や理由だけでなく、卒業後の目標まで明確に問われています。また「学力型AO」と言われるように、センター試験などを課して、一定の基礎学力も求めています。鎌倉女子大学や北陸大学が実施しているのは、新しい「学力の3要素」(詳細は9ページ参照)を重視した選抜方法。それを公平で明確に評価するための基準を設けて公表しています。  この背景にあるのが、「高大接続改革」と言われるものです(詳細は9ページ参照)。これまでの一般入試は 「一般選抜」 に名称が変わり、筆記試験に加え、「調査書や志願者本人が記載する資料等を積極的に活用する」という方針が示されています。また、AO入試は「総合型選抜」 、推薦入試は 「学校推薦型選抜」 と変更。いずれも、調査書等の出願書類だけでなく、各大学が実施する評価方法、または「大学入学共通テスト」のうち、少なくともいずれか一つの活用が必須化されます。 つまり、どの入試方法であっても「学力の3要素」が問われ、子どもたちの資質や能力が、それぞれの大学の入学者受入れ方針に基づいて多面的・総合的に評価される入学者選抜に既に変わってきているのです。こうした変化に戸惑いを感じる保護者もいるかもしれません。しかし裏を返せば、「暗記は苦手だけれど、人をまとめる力がある」とか、「一問一答式の問題だけで選ばれるより、自分の考えを聞いてくれる選ばれ方の方が好き」という子どもにとってはむしろチャンスです。子どもたちのさまざまな資質や能力で判断しようとしているのが、これからの大学入学者選抜なのです。多面的な能力を測る選抜方法にすべての大学が変わっていく「思考力・判断力・表現力」など、今後求められる、新しい「学力の3要素」を明確に測る入試を導入しているのが鎌倉女子大学だ。同学の「AO入試(高大接続重視型)」では、活動報告書や自己PR書等の書類審査の後、集団討論・プレゼンテーションと小論文・面接による選抜を2017年度から始めている。それぞれの審査で「学力の3要素」の何を測るかの配点を事前に公表している。北陸大学では2017年度からアドベンチャープログラムという体験学習の手法をAO入試に取り入れる独特な取り組みを行っている。「主体性・協働性・課題解決力」を測るために、与えられた課題に対してどう考え、どのような行動を取るかを評価するものだ。2017年度では、特別な施設で受験生たちが、チームで課題に挑戦した。そこでの主体性や協働性に関して、自己評価と振り返りを中心に総合的評価を行う。早稲田大学が、地域社会に貢献できる人材の育成のために2018年度から導入したのが「新思考入試(地域連携型)」。1次選考は高校時代に行ってきた、地域課題に対する活動内容や、早稲田で学びたいこと、将来の地域貢献などについてのレポートで課題発見能力を判定。2次選考では論理的思考力を問う論文を課し、さらにセンター試験を3次選考として学力も担保している。京都大学が2016年度に始めた 「特色入試」は、各学部学科が実施する学力型AO・推薦方式の入試の総称。詳細は学部学科によって異なるが、調査書や推薦書の他、高校での「学業活動報告書」、大学で何を学び卒業後の計画を描く「学びの設計書」などの書類を提出。そのうえで、基礎学力や各学部学科に適合する能力を測るため、センター試験、能力測定考査、論文試験、面接試験、口頭試問等も組み合わせている。▶既に変わり始めている大学入学者選抜の一例7for Parent 2018

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