高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2019
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 私は英語教員として、生徒たちが自ら学ぶ方法を選ぶアクティブ・ラーニングで「教えない授業」を実践しています。このような授業を始めたきっかけは、東日本大震災で親や教師を失った子どもたちと触れ合ったときに「大人がいなくても自ら学び続けられる力を、生徒につけてあげなければならない」と感じたことでした。 また、学校という場が、社会とかけ離れていることも気がかりでした。社会に出ると仕事の仕方は自分で選び、仲間と共に解決に当たり、結果に責任をもたねばなりません。しかし、従来の学校では生徒が何かを選択できる場面はほとんどなく、授業も先生の講義をひたすら一人でノートを取っています。 これらのことから、自ら問い(知りたいこと)を見つけ、学び方を考え、自分なりの答えを見つけていく「自律型学習者」を育てようと考え始めたのです。 そこで、教員依存の授業から、生徒が選択できる授業を始めました。一通りの学び方を経験させた後、例えば英語の音読なら、一人で読みたいか、ペアやグループで読みたいかを生徒たちに選ばせます。このとき留意させるのは、自分の選択で仲間がハッピーになるかどうかです。社会で人と共に働くときと同じ考え方です。選択した結果の責任は自分たちが負うので、生徒は一生懸命考えます。このような複数のタスクから選択することや、人間関係のマネジメント力は社会に出る前に身につけておきたい資質で、新しい学力の3要素にもつながることです。 家庭でも同じで、親が「やれ」と言って勉強のやる気が出ることはありません。スマホを見るのも、勉強するのも自分の選択であり、その結果には責任を取らねばならないことを教えてあげなければなりません。本人も本当はどちらが有益なのかはわかっているはずです。自ら選択し責任をもつ経験が自律型学習者を育てる入試も勉強も実際にする主役は子どもたちで、保護者は見守り役です。しかし、先輩たちと異なる状況や入試にわが子が戸惑ったとき、保護者にできることはないのでしょうか? 過保護にならず、子どもたちの自立支援を促すためにできることを考えてみましょう。取材・文/長島佳子これからの社会や大学、入試では主体性をはじめとした新しい学力の3要素が求められ、高校現場でもその力をつける授業が始まっています。生徒が主体的に学ぶ「教えない授業」で話題を呼び、「学校に頼らなくても自律型学習者になれる」と著書で語る山本崇雄先生に、子どもが学びの主体性を身につけるために家庭でできることについて語っていただきました。1970年生まれ。公立中学校、都立中高一貫校を経て2019年より現職。学外で「未来教育デザインConfeito」を設立し活動中。著書に『学校に頼らなければ学力は伸びる』など。ご自身も高校生の1児の親。新渡戸文化学園小中学校・高校英語科教諭横浜創英中学校・高校教育アドバイザー山本崇雄先生14for Parent 2019

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