高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2019
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卒業後の進路の話は遠い先のことに聞こえるでしょう。しかし、進路は「3年生になって決める」のではなく「3年かかって決める」もの。多くの高校では、春から適性診断や仕事・学問調べなどを通じて進路について考えさせ、秋には文理選択の希望調査を行います。文系に進むと理系学部受験に必要な科目が履修できない場合があるなど、文理選択は後戻りが難しい大事な分岐点です。保護者も子どもの考えをしっかり確認しておくことが大切です。 こうして早くも大きな選択を迫られますが、職業や学問に関する高校1年生の知識は豊富とはいえません。資格系の職業を目標にあげる子どものなかには、就職の有利さなどで短絡的に考えている場合もあります。 「1年生は進路を絞り込むより、可能性を広げたい時期。子どもの興味の周辺にある多様な仕事について家庭で話すなど、子どもの視野を広げるよう意識するとよいでしょう」(同) また、今年度の高校1年生は、大学入試センター試験に代わる大学入学共通テストで選考されることになります。学校から提供される大学入試情報などに、保護者もアンテナを張っておくと安心です。次年度の文理コースや履修科目について最終的な選択を行う。あとからの文理変更は実質困難な場合が多く、入試でも不利になるため、しっかり考えたうえで提出しなくてはならない。【→参考p.22】多様な大人から直接、職に就くまでの道のりや仕事のやりがいなどを聞く。高校生活にしか目が向いていなかった子どもも、視野が広がったり、働くとはどういうことかを考えたりするきっかけになる。1年秋は学力が大きく動く時期。高校生活に慣れてきたところで、しっかりした学習習慣・生活習慣が身につけられた子どもは、成績が伸びやすい。進学校では1年生から実施される。自分の得意・不得意分野を把握する。書類には保護者の確認・捺印が必要。選択の理由を確認したうえで捺印を。子どもの考えに対し保護者として意見を言うのは悪いことではありませんが、あくまで子ども自身に選択の主導権があるということを忘れず、価値観を押し付けることのないよう注意しましょう。子どもの考えを聞く身近な社会人として、仕事の経験や社会の動きなどについて積極的に話すことで、子どもの視野を広げることができます。学校での社会人講演会などの実施を機に、「どんな話だった?」「どう感じた?」などと話題にするのも効果的です。仕事や社会について話す※学校行事はモデルケースです。先生のおかげでジャンプ●自分はできないと思い込み、何に対してもやる気が出なかったが、担任がうまく私の個性や考え方を形に変える手伝いをしてくれたため自信がついた。(大学生/情報学部)●何も考えずなんとなく偏差値が高いからという理由で高校を決めて入り、最初はまったくやる気が起きなかった。3年生の時、担任の先生との二者面談の時に「そんなんじゃダメだぞ」と言われて目が覚めた。(大学生/経営経済学部)いろんな経験でジャンプ●今までリーダー的な立場は苦手で避けてきたが、思い切ってやってみたかった演劇コンクールのチーフになり、やり遂げたことが転機となった。(大学生/国際教養学部)●サイエンスキャンプや大学の理系教育プログラムに参加し、意識の高い人々と出会って、彼らの姿を目指すようになった。(大学生/農学部)目標ができてジャンプ●成績が下から数えるくらいだったが、2年になって行きたい大学が決まったとき、その大学に入るにはかなりの勉強をしないといけないとわかり、がんばるようになった。(大学生/栄養学科)●自分のレベルより高めの資格の勉強ができるクラスに選ばれ、この資格は難しいけど絶対に取りたいと思って勉強した。そこから他の科目もがんばれるようになった。(専門学校生/情報処理学科)成功・失敗体験からジャンプ●試験で赤点をとり、このままでは大学に行けなくなると思って勉強するようになった。(大学生/看護学部)●中学の時は下の方の成績だったが、高校に入学すると同じようなレベルの人が集まるから、やればやるだけ結果につながった。それからは、行事なども積極的に参加して最高の高校生活になった。(専門学校生/美容学科)21for Parent 2019

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